仮面ライダークウガ 2078最終章
第36話 吸血鬼‐ヴァンパイア‐
「吸血鬼の存在を信じますか?」
とある飲み屋のカウンター席に座っている関に対し、隣に座っていた男性がそう尋ねてくる。
「・・・ファンガイアのことですか?」
「そんな可愛げのあるもんじゃない、伝承通りの存在のことですよ。今頻発している失踪事件の裏側でそいつらが暗躍しているんですよ」
「あいにく、そういったオカルトの類は信じてないんですよ」
「失礼します」とその男性に言い残し、関は勘定を払うために席を立つ。
そのとき、関の通信端末に1通の出動要請が入ってきた―――。
「また失踪事件か・・・」
「そうなんだ・・・」
出動要請に従って現場に到着した関は、警察とともに現場の検証を行っている特務班の中で保志にそう尋ねる。
保志が関の質問に答えを返していたとき、志保が不審なものを発見し、関に尋ねた後に笹沼が鑑定に回すよう指示を出していた。
「関三佐。これ、何でしょうか・・・?」
「何かの毛だな・・・」
「とりあえず、調べてもらおうぜ」
その現場検証の帰り、保志の乗ったストライクチェイサーとともに特務班の車両が走っていると目の前に1人の女性が飛び出してくる。
関はその女性の反応を確かめるが、気を失っているのか何の反応も示さないでいた。かと言って放っておくわけにもいかないので、関はその女性を極東本部のメディカルセンターに運び込むよう指示を出していた。
その日の遅く、自室に戻った志保だったがその部屋に音もなく忍び込む人影があった。
何かの気配に気づき志保が振り向いたとき、その人影は志保目がけて襲い掛かっていた―――。
何気なしに志保の部屋の近くを通りかかった真魚だったが、志保の部屋の扉が不自然に開いているのに気づく。
嫌な予感に襲われた真魚が携帯していたブラストシューターを構えながら志保の部屋に入ると、気を失って横たわっている志保の首筋に噛みつこうとしている何者かに気づく。
「あなたは・・・!?」
部屋に入ってきた真魚に気づき振り向いた人物の顔を見て、真魚は驚愕の声を漏らす。
その人物は先ほど医務室に運び込まれたはずの女性であった。だが、その顔色は血が通っていないかのように青白くさらに口からは鋭い歯をのぞかせており、まるで・・・―――
「吸血鬼・・・!?」
その女性は真魚に向かって飛びかかってきたが、真魚が発砲したブラストシューターのエネルギー弾を受けて着地すると、開いていた扉から外へと逃走する。
「真魚!どうした!?」
「雄介!実は・・・」
その女性を追って外へ飛び出した真魚は発砲音を聞いて駆け付けた保志とかち合う。
真魚の説明を聞いて保志はともに女性を追って屋上へと向かうが、2人が外へ出たときには女性は夜の海へと姿を消していた―――。
「―――俺の責任だ・・・・」
「一真の責任じゃない。俺だってそう判断してたさ」
メディカルセンターのベッドで寝込んでいる志保を見ながらそうつぶやく関に対し、保志がそう声をかける。
そこに真魚が現場検証の際に発見した体毛の結果を報告に訪れる。
「吸血コウモリ?」
「ええ。南米に生息する吸血コウモリによく似たものらしくて・・・」
「ますます吸血鬼みたいになってきたな・・・」
そのやり取りを聞いていた関は自身の考えを述べていた。
「この件は俺の手で決着をつけてやる・・・!!」
~~~~
「今日は一緒に飲みかわしますか・・・?」
「今回は特殊戦略任務班に所属する三佐として伺いに来ました。一文字ハジメさん・・・」
いつも訪れている飲み屋にやってきた関はその男性―― 一文字ハジメにそう声をかける。
「5年前、社会派を気取っていた当時の私は超常現象を信用せず南米で起きた吸血鬼騒動を駆けだしだった後輩のアマネに任せていたが、南米に行った彼女は帰ってくることは無かった―――」
関にそう語りながらハジメは写真を見せる。
その写真には志保に襲い掛かっていた女性が映っており、関は思わず息をのんでいた。
「しかし、吸血鬼の存在は伝染病の恐怖とファンガイアがもとになって誕生した存在だったはずですが・・・」
「私もかつてはそう思っていた。だが、人間を吸血鬼に変えるウイルスは存在していた。南米の奥地に存在していたそのウイルスに感染し、彼女は吸血鬼として日本に帰ってきた。餌を狩るとともに仲間を増やすために―――」
やがて、深夜に街頭を巡回中の警務局の人間が吸血鬼の集団に襲われて死亡するという事件が頻発するようになっていった―――。
「これから吸血鬼たちに対する攻略作戦を開始する!杉田士長!」
「既に情報局との連携で、目撃情報から拠点の絞り込みは完了してます」
「平木士長!」
「科学局が作成した対吸血鬼用の特殊紫外線レーザーライフルを用意し終えてあります」
「これより奴らの拠点に突入を開始する!!」
関の指示により、特務班は吸血鬼が潜伏していると思われるアジトに向けてストライクチェイサーと特務班の車両が出発する。
目的地に到着すると、車両からレーザーライフルを取り出すとそれを場にいる全員に配る。
「なぁ、俺そこまで射撃得意じゃないんだけど・・・」
「そんなこと言ったら私だって・・・」
「一応銃器なんだから、警察官であるあなた達以外に渡せそうなのいないのよ・・・」
「心配すんな。どんなことがあろうと、凛子ちゃんは俺が守る」
「晴人君・・・・」
配られたレーザーライフルを手に取りながらショウイチと凛子が難しい表情を浮かべていると、晴人の言葉を聞いて凛子と晴人の間に甘い雰囲気ができ始めていた。
そんな2人に保志がボソッと呟く。
「いちゃついてないでさっさと行こうよ」
「「いちゃついてない!?」」
保志の言葉に晴人と凛子は顔を赤めながらそう言い返した後、全員が突入の準備に入る。
笹沼と鈴村が扉に手をかけると、全員の顔を見渡して扉を開ける合図を送る。
扉を開けて一斉に突入すると、二手に分かれて探索を開始した。
「あの・・・弦太朗さん。さすがに勝手についてきた上にこんな事したら不味いんじゃないんですかね・・・?」
「心配ないぜ、俺は吸血鬼ともダチになる男だ!!もしもの時に備えて友子に聞いて吸血鬼対策してるじゃねえか!」
「これ・・・役に立つのかしらね・・・?」
「さあ・・・な・・・」
突入組に黙って(ただし弦太朗が強引に引っ張ってきた)うえに、勝手に別の場所から潜り込んでしまった仮面ライダー部の中で常識組のJKがさすがに戻ったほうがいいのではと提案する。
心配ないと首にニンニクのネックレスをつけながら豪語している弦太朗だが、同じようなネックレスを触りながら美羽が言った言葉に隼も賛同していた。
そのとき、吸血鬼と思わしき人物が複数姿を現す。
弦太朗はさっそく友達になろうとするが、当然のごく吸血鬼たちは耳を貸すことは無く仮面ライダー部の面々に襲い掛かる。
とっさにユウキはフラシェキーを起動させると強烈な閃光が辺りを照らす。
「やったぜユウキ!ニンニクもあるし、とりあえずもう襲われることは・・・」
弦太朗がそう言ってる途中で、吸血鬼たちは怯むことなく再び襲い掛かっていた。
友子はニンニクを目の前にかざすが、一切効果を見せることはなく逆に奪われるとどこかに放り投げれれていた。
弦太朗と流星は対処しようとそれぞれフォーゼドライバーとメテオドライバーを取り出すが、高い身体能力を持つ吸血鬼たちにあっという間にベルトを奪われてしまいそれらも放り投げられていた。
「何でニンニクと光が効いてないんだよォォォ!?」
「吸血鬼にされちゃうゥゥゥゥ!!」
仮面ライダー部全員が吸血鬼に組み伏せられ歯を突き立てられかけていたとき、1本のレーザーが1体の吸血鬼に命中し吸血鬼は悲鳴を上げながら青い炎を上げて倒れこむ。
レーザーの飛んできたほうを見ると、レーザーライフルを構えながら鈴村と美穂、そして晴人と凛子が突入してくる。
吸血鬼たちは鈴村たちに狙いを変えるが、次々とレーザーに打たれ燃え上がりながら倒れていった。
「あなた達何でいるのよ・・・・?」
場にいた吸血鬼たちを一掃したあと、凛子が呆れながら尋ねると弦太朗はダチになりに来たと説明するが逆にそのレーザーライフルが効いたことを不思議そうに尋ねてきたので、美穂と鈴村はそれに答えを返していた。
「にしても何でフラシェキーの光やニンニク効かなかったのに、その銃は効いたんだ?」
「向こうでの説明聞いてた?この銃はあいつらの体内にあるウイルスを破壊する紫外線を発射されてるのよ」
「吸血鬼が日光に弱いってのもそこから来たんだろうな」
同じころ、奥を進んでいた保志達はポツンと置かれている棺を発見していた。
「俺、これとそっくりな光景を映画で見たことある」
「私も」
棺を調べていた保志達だったが、突如蓋がズレたかと思うとそこから伸びてきた手が保志の腕をつかんだかと思うと保志を棺の中に引きずり込んでいった。
慌てて棺の蓋を開けようとする真魚や関たちだったが、蓋はびくともしない。
さらに真魚たちを吸血鬼たちが囲んでいた。
「イタタタ・・・!!」
「ようこそ我ら美しき夜の種族の世界へ」
棺の中へ引きずり込まれたはずの保志は周囲が闇に包まれている謎の空間にたどり着いていた。
そんな保志に空間内にいた男が挨拶をしてくる。その男の背後には巨大なコウモリのような姿をした人型の何かがいた。
「何故君たちのような下等生物ごときが我らの神と同じ力を所持しているのだ?」
「何?」
「下等生物ごときが我らの神と同じ力を持ちながら、それと真逆の性質を持つ。我らはそれを許すことはできないのだよ!」
保志と男がそんな会話を交わしていたころ、吸血鬼たちを次々とレーザーライフルで倒していき、遂にアマネが変身した吸血鬼だけが残った。
関たちがレーザーライフルをアマネに向けている中、ハジメが姿を現すとアマネを庇う。
「退いてください一文字さん!!」
「私は・・・もう彼女を見殺しにはできない・・・!!
そう言ってアマネを抱きしめるハジメの腕の中で、アマネの顔色が元に戻ると牙も引いていく。
「先輩・・・」と呟いたアマネはハジメを自身から引き離すと、そのまま窓辺へと駆け寄ると窓のカーテンに手をかける。
何をする気か察知したハジメはアマネの行動を止めさせようとする。しかし、アマネは迷うことなくカーテンを開く。
「さよなら・・・先輩・・・」
窓から光が差す中で、ハジメのほうを向きながらアマネはそう呟く。そして体から青い炎を上げながら姿を消していった。
さらにその光は蓋の隙間から棺の中にも注ぎ込まれる。
「うわァァァッ!?ヴァンキュラァァァッ!!」
光に体を焼かれながら男は自らの種族の神の名を叫ぶと、完全に消滅した。
すると棺から黒い煙のようなものが流れ出始めると、施設から上空に向けて辺りに立ち込め始める。
周囲を闇が覆ったあと、その中からコウモリのような姿をしたもの――ヴァンキュラが出現する。
鈴村たちによっていち早く施設から出されていた弦太朗と流星はそれぞれドライバーを腰に巻くと、周りが止めるのも聞かずに戦いを挑みに行く。
しかし、変身していつもの口上を言っている最中にヴァンキュラが目から放った催眠音波をまともに浴びてしまいがっくりと膝をついて動かなくなってしまった。
一方で棺の中の空間に閉じ込められていた保志はクウガに変身すると、そのまま外に飛び出す。
外に脱出したクウガはそのままヴァンキュラと戦闘になる。
ヴァンキュラが鋭い爪を備えた翼をクウガ目がけて打ち付けようとしてくるが、クウガはその攻撃をバク転で回避していくとドロップキックを浴びせて後退させる。
するとヴァンキュラは眼から再び催眠音波を放つ。それに呼応するかのようにフォーゼとメテオが動き始めると、あろうことかクウガに攻撃し始める。
フォーゼとメテオの攻撃はいとも簡単にいなしていくクウガだったが、飛行しながら体当たりしてきたヴァンキュラの攻撃を防ぐことはできなかった。
「簡単に操られちゃって・・・!!」
吹っ飛ばされながらもすぐさま起き上がったクウガは向かってきたフォーゼをヘッドロックをかけながら同様に向かってきたメテオに蹴りを入れて吹っ飛ばすと、さらにフォーゼもメテオ目がけて投げ飛ばす。
互いにもつれ合っているフォーゼとメテオを放って置きながらクウガはヴァンキュラに攻撃を仕掛けていく。
パンチやキックでダメージを浴びせていくクウガだったが、突如ヴァンキュラの口が開いたかと思うとクウガは耳を押さえて動きを止めてしまう。
「何が起きたんだ!?」
「まさか・・・超音波か!?」
アマダムにより感覚器官も含めた体組織が強化されているためか、ヴァンキュラの放つ超音波によっていとも簡単に動きを止められてしまっていた。
ヴァンキュラはクウガの背後に回り込むと、そのままクウガの首筋に牙を突き立てるとそのままエネルギーを吸収し始める。
「マズイ・・・!!」
牙を突き立てられているクウガを見て、晴人はウィザードフレイムスタイルに変身するとヴァンキュラ目がけてウィザーソードガンから弾丸を放つ。
不規則な軌道を描きながら放たれた銀の弾丸はヴァンキュラに命中しクウガから引き離す。
ソードモードに移行したウィザーソードガンで攻撃しようとするが、それを妨害するかのようにフォーゼとメテオがウィザードの脚にしがみつく。
「ヤバいだろこの状況・・・!?」
笹沼がそう呟いている中、関は保志が落としたレーザーライフルを持ってヴァンキュラに向かって走っていくハジメに気づく。
関はレーザーライフルを手にストライクチェイサーに乗ると、ヴァンキュラに向かって走りながら目に攻撃を浴びせる。
「今だ!奴の口に!!」
もう片方の目にも攻撃を浴びせながら関がそう叫ぶと、ハジメはレーザーライフルをヴァンキュラに向ける。
スコープでヴァンキュラを覗きながらハジメの脳裏にはアマネの姿が浮かび上がりながら、ハジメは引き金を引く。
寸分たがわず狙い通りに口内に命中し、すべての超音波の発射部分を封じられたヴァンキュラはもがき苦しむ。
苦しめられていた超音波が止まったことにより動きが正常に戻ったクウガはウィザードを妨害していたフォーゼとメテオを蹴り飛ばした後にバーニングマイティに、ウィザードはインフィニティースタイルへとチェンジする。
ウィザードがアックスカリバーでヴァンキュラを切り裂くと、クウガは肘うちを浴びせた後に投げ飛ばす。
さらにクウガとウィザードは同時にヴァンキュラにキックを浴びせて吹っ飛ばしたあと、ウィザードは再びアックスカリバーで斬りつける。
止めとしてクウガは両手の間に作り出した赤い光弾を放つと、その途中でウィザードはアックスカリバーで弾いて速度を加速させる。
光弾が命中したヴァンキュラは青い炎を上げながら消滅し、それと同時に闇も消滅した。
「まるで・・・血にみたいに赤いな・・・」
「ですが、あの光こそが生きている証。そうは思いませんか?」
戦いが終わった後に訪れた夕日を見ながらハジメはそう呟く。
それに対し、そう問いかけた関の言葉に答えることなくハジメは歩き始める。
「彼女もきっと最後にはそれを感じたはずです!人間として!!」
ハジメはその言葉に何も返さなかったが、黙って背中越しに片手を振って立ち去って行った―――。
~~~
「隣、いいですか?」
「志保か・・・」
その日の夜、いつもの飲み屋で飲んでいた関に志保はそう声をかけると席に着く。
「焼酎1つ」
「サワーにしといたらどうなんだ?」
「平気ですよ。関三佐よりは強いですから」
「そういう問題じゃない」
関がそう言ったあとに、志保に焼酎を出しながら店主が言った言葉に2人は固まっていた。
「お2人ともお似合いですよ」
「「えっ」」
~~~
「お母さんとお父さんは・・・?」
霧の濃い、月明かりの無い真っ暗な夜に1人の少女が森の中を駆ける。
その少女の声に答えるかのように1人の人物が姿を現す。
「俺がやった」
その人物がそう声を発すると同時に木の上から女性が落ちてくる。見ると、その人物の足元にはその子の父親と思わしき男性もうつ伏せで倒れている。
さらにその人物はその子の母親の遺体を踏みつけながらその子にささやく。
「お前が俺に光を手渡す、その時のために・・・」
「また、あの夜のことを・・・―――」
真魚はそう呟きながら体を起こす。
その後、何気なしに鏡を見た真魚は一気に体が硬直する。
鏡には自身に重なるように金色の角に赤い瞳をした、まるで龍を連想させる金色の戦士が浮かび上がっていた。
しばらくしてその戦士の姿は消えていったが、しばらく固まったままだった真魚は自身の手を見ながらポツリと呟いていた。
「私に・・・アギトの力が・・・!?」
とある飲み屋のカウンター席に座っている関に対し、隣に座っていた男性がそう尋ねてくる。
「・・・ファンガイアのことですか?」
「そんな可愛げのあるもんじゃない、伝承通りの存在のことですよ。今頻発している失踪事件の裏側でそいつらが暗躍しているんですよ」
「あいにく、そういったオカルトの類は信じてないんですよ」
「失礼します」とその男性に言い残し、関は勘定を払うために席を立つ。
そのとき、関の通信端末に1通の出動要請が入ってきた―――。
「また失踪事件か・・・」
「そうなんだ・・・」
出動要請に従って現場に到着した関は、警察とともに現場の検証を行っている特務班の中で保志にそう尋ねる。
保志が関の質問に答えを返していたとき、志保が不審なものを発見し、関に尋ねた後に笹沼が鑑定に回すよう指示を出していた。
「関三佐。これ、何でしょうか・・・?」
「何かの毛だな・・・」
「とりあえず、調べてもらおうぜ」
その現場検証の帰り、保志の乗ったストライクチェイサーとともに特務班の車両が走っていると目の前に1人の女性が飛び出してくる。
関はその女性の反応を確かめるが、気を失っているのか何の反応も示さないでいた。かと言って放っておくわけにもいかないので、関はその女性を極東本部のメディカルセンターに運び込むよう指示を出していた。
その日の遅く、自室に戻った志保だったがその部屋に音もなく忍び込む人影があった。
何かの気配に気づき志保が振り向いたとき、その人影は志保目がけて襲い掛かっていた―――。
何気なしに志保の部屋の近くを通りかかった真魚だったが、志保の部屋の扉が不自然に開いているのに気づく。
嫌な予感に襲われた真魚が携帯していたブラストシューターを構えながら志保の部屋に入ると、気を失って横たわっている志保の首筋に噛みつこうとしている何者かに気づく。
「あなたは・・・!?」
部屋に入ってきた真魚に気づき振り向いた人物の顔を見て、真魚は驚愕の声を漏らす。
その人物は先ほど医務室に運び込まれたはずの女性であった。だが、その顔色は血が通っていないかのように青白くさらに口からは鋭い歯をのぞかせており、まるで・・・―――
「吸血鬼・・・!?」
その女性は真魚に向かって飛びかかってきたが、真魚が発砲したブラストシューターのエネルギー弾を受けて着地すると、開いていた扉から外へと逃走する。
「真魚!どうした!?」
「雄介!実は・・・」
その女性を追って外へ飛び出した真魚は発砲音を聞いて駆け付けた保志とかち合う。
真魚の説明を聞いて保志はともに女性を追って屋上へと向かうが、2人が外へ出たときには女性は夜の海へと姿を消していた―――。
「―――俺の責任だ・・・・」
「一真の責任じゃない。俺だってそう判断してたさ」
メディカルセンターのベッドで寝込んでいる志保を見ながらそうつぶやく関に対し、保志がそう声をかける。
そこに真魚が現場検証の際に発見した体毛の結果を報告に訪れる。
「吸血コウモリ?」
「ええ。南米に生息する吸血コウモリによく似たものらしくて・・・」
「ますます吸血鬼みたいになってきたな・・・」
そのやり取りを聞いていた関は自身の考えを述べていた。
「この件は俺の手で決着をつけてやる・・・!!」
~~~~
「今日は一緒に飲みかわしますか・・・?」
「今回は特殊戦略任務班に所属する三佐として伺いに来ました。一文字ハジメさん・・・」
いつも訪れている飲み屋にやってきた関はその男性―― 一文字ハジメにそう声をかける。
「5年前、社会派を気取っていた当時の私は超常現象を信用せず南米で起きた吸血鬼騒動を駆けだしだった後輩のアマネに任せていたが、南米に行った彼女は帰ってくることは無かった―――」
関にそう語りながらハジメは写真を見せる。
その写真には志保に襲い掛かっていた女性が映っており、関は思わず息をのんでいた。
「しかし、吸血鬼の存在は伝染病の恐怖とファンガイアがもとになって誕生した存在だったはずですが・・・」
「私もかつてはそう思っていた。だが、人間を吸血鬼に変えるウイルスは存在していた。南米の奥地に存在していたそのウイルスに感染し、彼女は吸血鬼として日本に帰ってきた。餌を狩るとともに仲間を増やすために―――」
やがて、深夜に街頭を巡回中の警務局の人間が吸血鬼の集団に襲われて死亡するという事件が頻発するようになっていった―――。
「これから吸血鬼たちに対する攻略作戦を開始する!杉田士長!」
「既に情報局との連携で、目撃情報から拠点の絞り込みは完了してます」
「平木士長!」
「科学局が作成した対吸血鬼用の特殊紫外線レーザーライフルを用意し終えてあります」
「これより奴らの拠点に突入を開始する!!」
関の指示により、特務班は吸血鬼が潜伏していると思われるアジトに向けてストライクチェイサーと特務班の車両が出発する。
目的地に到着すると、車両からレーザーライフルを取り出すとそれを場にいる全員に配る。
「なぁ、俺そこまで射撃得意じゃないんだけど・・・」
「そんなこと言ったら私だって・・・」
「一応銃器なんだから、警察官であるあなた達以外に渡せそうなのいないのよ・・・」
「心配すんな。どんなことがあろうと、凛子ちゃんは俺が守る」
「晴人君・・・・」
配られたレーザーライフルを手に取りながらショウイチと凛子が難しい表情を浮かべていると、晴人の言葉を聞いて凛子と晴人の間に甘い雰囲気ができ始めていた。
そんな2人に保志がボソッと呟く。
「いちゃついてないでさっさと行こうよ」
「「いちゃついてない!?」」
保志の言葉に晴人と凛子は顔を赤めながらそう言い返した後、全員が突入の準備に入る。
笹沼と鈴村が扉に手をかけると、全員の顔を見渡して扉を開ける合図を送る。
扉を開けて一斉に突入すると、二手に分かれて探索を開始した。
「あの・・・弦太朗さん。さすがに勝手についてきた上にこんな事したら不味いんじゃないんですかね・・・?」
「心配ないぜ、俺は吸血鬼ともダチになる男だ!!もしもの時に備えて友子に聞いて吸血鬼対策してるじゃねえか!」
「これ・・・役に立つのかしらね・・・?」
「さあ・・・な・・・」
突入組に黙って(ただし弦太朗が強引に引っ張ってきた)うえに、勝手に別の場所から潜り込んでしまった仮面ライダー部の中で常識組のJKがさすがに戻ったほうがいいのではと提案する。
心配ないと首にニンニクのネックレスをつけながら豪語している弦太朗だが、同じようなネックレスを触りながら美羽が言った言葉に隼も賛同していた。
そのとき、吸血鬼と思わしき人物が複数姿を現す。
弦太朗はさっそく友達になろうとするが、当然のごく吸血鬼たちは耳を貸すことは無く仮面ライダー部の面々に襲い掛かる。
とっさにユウキはフラシェキーを起動させると強烈な閃光が辺りを照らす。
「やったぜユウキ!ニンニクもあるし、とりあえずもう襲われることは・・・」
弦太朗がそう言ってる途中で、吸血鬼たちは怯むことなく再び襲い掛かっていた。
友子はニンニクを目の前にかざすが、一切効果を見せることはなく逆に奪われるとどこかに放り投げれれていた。
弦太朗と流星は対処しようとそれぞれフォーゼドライバーとメテオドライバーを取り出すが、高い身体能力を持つ吸血鬼たちにあっという間にベルトを奪われてしまいそれらも放り投げられていた。
「何でニンニクと光が効いてないんだよォォォ!?」
「吸血鬼にされちゃうゥゥゥゥ!!」
仮面ライダー部全員が吸血鬼に組み伏せられ歯を突き立てられかけていたとき、1本のレーザーが1体の吸血鬼に命中し吸血鬼は悲鳴を上げながら青い炎を上げて倒れこむ。
レーザーの飛んできたほうを見ると、レーザーライフルを構えながら鈴村と美穂、そして晴人と凛子が突入してくる。
吸血鬼たちは鈴村たちに狙いを変えるが、次々とレーザーに打たれ燃え上がりながら倒れていった。
「あなた達何でいるのよ・・・・?」
場にいた吸血鬼たちを一掃したあと、凛子が呆れながら尋ねると弦太朗はダチになりに来たと説明するが逆にそのレーザーライフルが効いたことを不思議そうに尋ねてきたので、美穂と鈴村はそれに答えを返していた。
「にしても何でフラシェキーの光やニンニク効かなかったのに、その銃は効いたんだ?」
「向こうでの説明聞いてた?この銃はあいつらの体内にあるウイルスを破壊する紫外線を発射されてるのよ」
「吸血鬼が日光に弱いってのもそこから来たんだろうな」
同じころ、奥を進んでいた保志達はポツンと置かれている棺を発見していた。
「俺、これとそっくりな光景を映画で見たことある」
「私も」
棺を調べていた保志達だったが、突如蓋がズレたかと思うとそこから伸びてきた手が保志の腕をつかんだかと思うと保志を棺の中に引きずり込んでいった。
慌てて棺の蓋を開けようとする真魚や関たちだったが、蓋はびくともしない。
さらに真魚たちを吸血鬼たちが囲んでいた。
「イタタタ・・・!!」
「ようこそ我ら美しき夜の種族の世界へ」
棺の中へ引きずり込まれたはずの保志は周囲が闇に包まれている謎の空間にたどり着いていた。
そんな保志に空間内にいた男が挨拶をしてくる。その男の背後には巨大なコウモリのような姿をした人型の何かがいた。
「何故君たちのような下等生物ごときが我らの神と同じ力を所持しているのだ?」
「何?」
「下等生物ごときが我らの神と同じ力を持ちながら、それと真逆の性質を持つ。我らはそれを許すことはできないのだよ!」
保志と男がそんな会話を交わしていたころ、吸血鬼たちを次々とレーザーライフルで倒していき、遂にアマネが変身した吸血鬼だけが残った。
関たちがレーザーライフルをアマネに向けている中、ハジメが姿を現すとアマネを庇う。
「退いてください一文字さん!!」
「私は・・・もう彼女を見殺しにはできない・・・!!
そう言ってアマネを抱きしめるハジメの腕の中で、アマネの顔色が元に戻ると牙も引いていく。
「先輩・・・」と呟いたアマネはハジメを自身から引き離すと、そのまま窓辺へと駆け寄ると窓のカーテンに手をかける。
何をする気か察知したハジメはアマネの行動を止めさせようとする。しかし、アマネは迷うことなくカーテンを開く。
「さよなら・・・先輩・・・」
窓から光が差す中で、ハジメのほうを向きながらアマネはそう呟く。そして体から青い炎を上げながら姿を消していった。
さらにその光は蓋の隙間から棺の中にも注ぎ込まれる。
「うわァァァッ!?ヴァンキュラァァァッ!!」
光に体を焼かれながら男は自らの種族の神の名を叫ぶと、完全に消滅した。
すると棺から黒い煙のようなものが流れ出始めると、施設から上空に向けて辺りに立ち込め始める。
周囲を闇が覆ったあと、その中からコウモリのような姿をしたもの――ヴァンキュラが出現する。
鈴村たちによっていち早く施設から出されていた弦太朗と流星はそれぞれドライバーを腰に巻くと、周りが止めるのも聞かずに戦いを挑みに行く。
しかし、変身していつもの口上を言っている最中にヴァンキュラが目から放った催眠音波をまともに浴びてしまいがっくりと膝をついて動かなくなってしまった。
一方で棺の中の空間に閉じ込められていた保志はクウガに変身すると、そのまま外に飛び出す。
外に脱出したクウガはそのままヴァンキュラと戦闘になる。
ヴァンキュラが鋭い爪を備えた翼をクウガ目がけて打ち付けようとしてくるが、クウガはその攻撃をバク転で回避していくとドロップキックを浴びせて後退させる。
するとヴァンキュラは眼から再び催眠音波を放つ。それに呼応するかのようにフォーゼとメテオが動き始めると、あろうことかクウガに攻撃し始める。
フォーゼとメテオの攻撃はいとも簡単にいなしていくクウガだったが、飛行しながら体当たりしてきたヴァンキュラの攻撃を防ぐことはできなかった。
「簡単に操られちゃって・・・!!」
吹っ飛ばされながらもすぐさま起き上がったクウガは向かってきたフォーゼをヘッドロックをかけながら同様に向かってきたメテオに蹴りを入れて吹っ飛ばすと、さらにフォーゼもメテオ目がけて投げ飛ばす。
互いにもつれ合っているフォーゼとメテオを放って置きながらクウガはヴァンキュラに攻撃を仕掛けていく。
パンチやキックでダメージを浴びせていくクウガだったが、突如ヴァンキュラの口が開いたかと思うとクウガは耳を押さえて動きを止めてしまう。
「何が起きたんだ!?」
「まさか・・・超音波か!?」
アマダムにより感覚器官も含めた体組織が強化されているためか、ヴァンキュラの放つ超音波によっていとも簡単に動きを止められてしまっていた。
ヴァンキュラはクウガの背後に回り込むと、そのままクウガの首筋に牙を突き立てるとそのままエネルギーを吸収し始める。
「マズイ・・・!!」
牙を突き立てられているクウガを見て、晴人はウィザードフレイムスタイルに変身するとヴァンキュラ目がけてウィザーソードガンから弾丸を放つ。
不規則な軌道を描きながら放たれた銀の弾丸はヴァンキュラに命中しクウガから引き離す。
ソードモードに移行したウィザーソードガンで攻撃しようとするが、それを妨害するかのようにフォーゼとメテオがウィザードの脚にしがみつく。
「ヤバいだろこの状況・・・!?」
笹沼がそう呟いている中、関は保志が落としたレーザーライフルを持ってヴァンキュラに向かって走っていくハジメに気づく。
関はレーザーライフルを手にストライクチェイサーに乗ると、ヴァンキュラに向かって走りながら目に攻撃を浴びせる。
「今だ!奴の口に!!」
もう片方の目にも攻撃を浴びせながら関がそう叫ぶと、ハジメはレーザーライフルをヴァンキュラに向ける。
スコープでヴァンキュラを覗きながらハジメの脳裏にはアマネの姿が浮かび上がりながら、ハジメは引き金を引く。
寸分たがわず狙い通りに口内に命中し、すべての超音波の発射部分を封じられたヴァンキュラはもがき苦しむ。
苦しめられていた超音波が止まったことにより動きが正常に戻ったクウガはウィザードを妨害していたフォーゼとメテオを蹴り飛ばした後にバーニングマイティに、ウィザードはインフィニティースタイルへとチェンジする。
ウィザードがアックスカリバーでヴァンキュラを切り裂くと、クウガは肘うちを浴びせた後に投げ飛ばす。
さらにクウガとウィザードは同時にヴァンキュラにキックを浴びせて吹っ飛ばしたあと、ウィザードは再びアックスカリバーで斬りつける。
止めとしてクウガは両手の間に作り出した赤い光弾を放つと、その途中でウィザードはアックスカリバーで弾いて速度を加速させる。
光弾が命中したヴァンキュラは青い炎を上げながら消滅し、それと同時に闇も消滅した。
「まるで・・・血にみたいに赤いな・・・」
「ですが、あの光こそが生きている証。そうは思いませんか?」
戦いが終わった後に訪れた夕日を見ながらハジメはそう呟く。
それに対し、そう問いかけた関の言葉に答えることなくハジメは歩き始める。
「彼女もきっと最後にはそれを感じたはずです!人間として!!」
ハジメはその言葉に何も返さなかったが、黙って背中越しに片手を振って立ち去って行った―――。
~~~
「隣、いいですか?」
「志保か・・・」
その日の夜、いつもの飲み屋で飲んでいた関に志保はそう声をかけると席に着く。
「焼酎1つ」
「サワーにしといたらどうなんだ?」
「平気ですよ。関三佐よりは強いですから」
「そういう問題じゃない」
関がそう言ったあとに、志保に焼酎を出しながら店主が言った言葉に2人は固まっていた。
「お2人ともお似合いですよ」
「「えっ」」
~~~
「お母さんとお父さんは・・・?」
霧の濃い、月明かりの無い真っ暗な夜に1人の少女が森の中を駆ける。
その少女の声に答えるかのように1人の人物が姿を現す。
「俺がやった」
その人物がそう声を発すると同時に木の上から女性が落ちてくる。見ると、その人物の足元にはその子の父親と思わしき男性もうつ伏せで倒れている。
さらにその人物はその子の母親の遺体を踏みつけながらその子にささやく。
「お前が俺に光を手渡す、その時のために・・・」
「また、あの夜のことを・・・―――」
真魚はそう呟きながら体を起こす。
その後、何気なしに鏡を見た真魚は一気に体が硬直する。
鏡には自身に重なるように金色の角に赤い瞳をした、まるで龍を連想させる金色の戦士が浮かび上がっていた。
しばらくしてその戦士の姿は消えていったが、しばらく固まったままだった真魚は自身の手を見ながらポツリと呟いていた。
「私に・・・アギトの力が・・・!?」
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