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東赤石山全景

愛媛に東赤石山という謎めいた山がある。赤い石で覆われた標高1,700mほどの山だ。
赤い石の正体はマントルカンラン岩・・ご存知のように地球深部のマントル層を作って
いる石だ。南側の別子山から見れば、そのカンラン岩層は東に傾き、中腹で露頭を覗かせ
銅山川の川床まで伸びている。地質図を見れば20kmほど南東にある高知県の蛇紋岩の
白髪山に続いている。東赤石から白髪山に至るエリアは富郷向斜と言われる横臥褶曲の
中に存在しており、カンラン岩(蛇紋岩)の露頭はその向斜軸に沿って分布している。
なお東赤石山から東に続く通称我蔵山系には最上部に角閃岩層が乗っており険しい峰を
造っている。この角閃岩も地殻深部に有った岩石のようで硬くて比重が大きい。

この辺りは三波川帯という地質帯に属し結晶片岩が基盤となっている。白亜紀に地下
数十kmの深部で変成を受けた高圧変成岩という岩石帯が地上に隆起したものだ。
白髪山の麓を流れる汗見川上流付近は特に高変成度の結晶片岩が分布しているという。
中流域では変成岩の中に枕状溶岩が見られる場所もある。枕状溶岩とは海底火山や陸上
の火山から流れ出た溶岩が海水で冷やされて丸く枕状になった岩石である。
三波川帯は九州から関東にかけ900km余りに帯状に分布している。ある資料によれば
その厚さは所によっては7,000mほどあるらしい。そんな物がどうやって地下深部から
隆起してきたのか・・東赤石山に居座るマントルカンラン岩同様、これも地学の大きな
謎になっているらしい。

東赤石山頂のカンラン岩の近辺には、黒や緑色の輝石という鉱物の中に、小粒ながら
赤く綺麗なガーネットが混じるエクロジャイトという石も見られる。時にはそこに
純白の石英が混じる物もあり、ルーペで覗くと実に美しい。エクロジャイトは沢や
麓を流れる川にも沢山転がり落ちているが多くは変質(風化)が進んでいる。
このエクロジャイトも高圧のマントル付近で生まれるらしい。

何故東赤石山ではマントルカンラン岩や角閃岩、エクロジャイト等が三波川変成岩の
上部に鎮座しているのか?・・地学では逆転した地層と言われている。 
富郷向斜の中に、三波川帯でも特に変成度の高い結晶片岩が分布している訳は・・?

さて、地学には全然縁の無かった輩がその東赤石山に囚われの身になってしまった。
専門家をも悩ます謎にど素人が関るのはお門違いかも知れない。でも東赤石山は我が町
で鎮座している・・エクロジャイトをルーペで眺めているだけではフラストレーション
が蓄積してくる。だが、数千万年前の出来事は例え専門家でも立証は不可能である。
そこに素人にも介入できる余地が生まれる・・どんな仮説をたてようがお咎めは無いだ
ろうと考えた。

三波川帯上昇には局部的な力が加わったのではなく、900kmに及ぶ三波川帯全域にほぼ
均一な力が作用したと考えねばならない・・そこに何か手がかりがありそうだ。

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夏の東赤石山 

東赤石山が地学上世界的に有名な山であることは恥かしながら県外の方に教えて頂いた。
定年間近かだったが、それで地学というものに興味を持った。しかし地学の参考書やnet
での検索にも難解な専門用語が次々と出てくる・・これは素人の手には負えない領域だと
感じた。しかし思い込んだら一途になる性格というのか、お隣の新居浜市の別子記念館や
別子図書館を訪れ、赤石山系に昔あった別子銅山付近の地質資料まで調べるほどの熱の入
れようでした。しかし所詮俄か仕立ての地質学者・・多様多種の地学用語を理解すること
も出来ず、狭く浅い知識しか頭に入らなかったのは言うまでもない。
実はスーパーで鮮魚担当をしていました(笑) では、ただの魚屋のおっちゃんがどうやって
東赤石山の難題に挑むのか?
何千万何億年前の出来事を知るのは神のみだ・・だから私も神になって地球を眺めることに
にした・・ただgoogle earthをくるくる回すだけですが(笑)

先ず東赤石山の基盤となっている三波川帯のお話から始めなくてはならないでしょうね。
東赤石山の麓を走る道路から山肌を眺めていると、その地層構造は複雑極まりない・・
岩石の層は折れ曲がり、ぐしゃぐしゃになっているような所もある。どんな力が加われば
こうなるんだと悩むばかりだが、近くには数十mにも及ぶ平行で整然とした岩層もある。
三波川帯は海洋プレートの沈み込みにより作られた岩石帯である。プレート上の堆積物、
海底火山やその噴出物、珊瑚礁、陸から海溝に運ばれた土砂などが大陸の縁から数十km
の深部に引きずり込まれ、その高圧により変成を受け生まれ変わった岩石である。
そこは水を含んだ冷たいプレートが沈み込んでいる傍ゆえ周囲と比べ比較的温度が低い。
故に三波川帯の岩石は低温高圧変成岩と呼ばれます。
変成とは圧力と温度で鉱物が入れ替わり別の石に変わること・・三波川帯は白亜紀に変成
を受けたといわれている。多分ユーラシア大陸の東に沈み込んでいた太平洋プレートが関
わっていたと思われます。太平洋プレートの最古の年代はジュラ紀のものでマリアナ海溝
付近で沈み込んでいる・・その厚さは100km以上と云われています。

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一般的に考えられている沈み込み帯付近の模式図

さて、その変成中の三波川帯を数十kmも地上まで押し上げたパワーとは何か?
三波川帯の隆起・・それは日本列島誕生のプロローグである。日本列島は約2,000万年前に
始まったといわれている・・しかし何故ユーラシア大陸の東縁が分裂を始めたのか?

google earthを少し回すとインドがある。インド亜大陸の衝突年代は研究者により差が
あるが5,000万年前頃のことらしい。遡ってインド亜大陸を乗せたインドプレート(現在は
インド・オーストラリアプレート)の北上開始は1億年ほど前だという説がある。
ここで考慮しておきたいことがある。海洋プレートがマントルに沈み込んでいる部分を
スラブといいますが、インドプレートの北上開始でユーラシア大陸の下にスラブが深く
沈み込みます。そしてそのすぐ東には分厚い太平洋プレートのスラブが沈み込んでいた。
現在関東地方の下では太平洋プレートとフィリピン海プレートのスラブが重なっている。
インドプレートと太平洋プレートのスラブも、時間経過に伴いそんな形になって行ったと
考えられないこともない・・つまり、インドプレートのスラブが太平洋プレートのスラブ
上面を削り取るように北上することも起こり得る。もしそうならば、ユーラシア大陸の縁
(三波川帯を含む付加帯)を切り離し隆起させることも出来たのではないのか。
関東地方の地下には、100km四方のプレート片が太平洋プレートとフィリピン海プレート
に挟まれるように横たわっているが、それはインドプレートの破片の可能性もある。
当時インドプレートは年20cm近くの比較的速いスピードで北上したと云われている。
東赤石山のマントルカンラン岩などもそんなプロセスの中で一部が変成中の三波川帯の
上に貫入したと考えられないこともない。

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別子肉淵谷で転がるカンラン岩・・もの凄い圧力を受けて搾り出されたような姿です。
マントルはこんな赤い石が詰まっている訳ではありません・・想像ではオリーブ色した
カンラン石という鉱物の海だそうですが・・・ (現在、写真の石は存在しない)


もうひとつの考え方は、インド亜大陸衝突が関わる上部マントル層の流動である。
インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突してからは、それが歯止めとなりインドプレートは
今の太平洋プレートのようにすんなりとは沈み込めなくなった・・ベルトコンベアに大き
な石が挟まりそれ以上回転しなくなったのと同じです。
大きな石がインド亜大陸で、ヒマラヤやチベット高原を隆起させることになる。
それ以上沈み込めなくなったスラブはブルドーザのブレードの役目に変わり北上します。
つまり前方にある上部マントル層を北に圧縮することになる。マントルは鉄よりも硬い石
であると云われているが、長い目で見れば液体のように流動する。
海に浮かぶ氷山のように、大陸はマントルに浮かんでいる・・そして大陸が厚く重くなる
ほど、よりマントル深く沈み込む・・これをアイソスタシーの理論と云うらしい。
現在スカンジナビア半島は氷河期の厚い氷が解けていて逆に隆起しているそうです。
インドプレートのスラブはマントル上層を北に押しやる。それに高さを増すヒマラヤ山脈
やチベット高原もアイソスタシーとかでマントル深く沈み込む。それらもマントル層を
北に押しやる壁となる・・もちろん上に浮かんでいる大陸も北に移動する。
恐らく太平洋プレートのスラブに沿ってマントル上層は北上することになるだろう。
google earthを眺めているとそのマントル流はカムチャッカ半島辺りまで地殻変動
させたように見える・・あの半島も、元は大陸の一部だったのでは・・?
その流れに乗らなかった地殻もある・・それはマントルに浮かんでいない付加帯だ。
それはプレートスラブ上に帯状に残されただろう・・もちろんそれは日本列島の卵です
強烈なパワーで押し寄せるマントル流は変成中の三波川帯を含む付加帯を太平洋プレート
上を押し上げる・・つまり付加帯は掬い上げられるように海溝側に隆起してゆきます。
そんな時にマントルの一部が変成岩帯の上に貫入したと考えられないこともない。
その付加帯と移動する大陸の間には亀裂が生じる・・その亀裂には海水も浸入する。
マントルカンラン岩は圧力が下がったり水との反応でマグマを発生する性質があります。
その亀裂はマグマを発生させるに十分な環境を与えた。そのマグマが日本海海底のルーツ
になり、そして拡大を続け日本列島の卵を太平洋側に押し広げる。
日本海のプレートは成長拡大を続ける。太平洋プレートの沈み込み帯は後退し新たな火山
活動が始まり列島は次第に拡大していった。
日本海には大和堆という、列島より後れを取った付加体の一部が残っている。
・・これらが約2,000万年前に始まったようです。一連の流れを考えると、年代的には矛盾
しないと思いますね。

ここで海洋プレートについて述べておきましょう。
実は海洋プレートは一枚板ではなく、板を何枚も並べて作った床と同じです。板と板
の境目を断裂帯とかトランスフォーム断層といいます。海嶺のマグマ噴出口がジグザグ
にずれているから起こる現象ですが、何故ずれているかは解明されていません。
もしかしたら地球は球面だから場所によってプレートの移動距離に差がつくのか?・・
或いは場所によってマグマ噴出量に違いがあることも関係してるのかも知れない?
ところで海洋プレートは年に数cmほど移動しているそうです。その動力源はマントルに
沈み込んでいるスラブの重さにあると言われています。確かに重い玄武岩の分厚いスラブ
ですが、より密度の高いマントル深く広大な海洋プレートをすんなりと引きずり込むこと
が出来るのだろうかと少々不安にも感じます。しかしトモグラフィー調査では、スラブが
数百kmの深部まで落ち込んでいるのが確認されている。
大西洋プレートにスラブは無い。それでも両サイドの大陸を押し広げている。
それはもう一つの説、マントル対流によるものでしょうか・・大陸が分裂するきっかけは
マントル対流やホットスポットによるものだと想像はできます。
海底では海嶺の噴火活動が続けば海嶺は高く成長してゆく。山体がある程度高くなると
多分その重さで下方に沈み込むでしょう・・その際に両側のプレートを押し広げるような
力が働くこともあるのではとも思います。
海嶺は重い玄武岩で出来た巨大山脈であることも考慮しなければなりません。
プレート移動の動力源は複数あると考えたほうが良さそうですね。
アフリカの紅海や大地溝帯等は、力が複雑に絡み合っているように見えます。
マントル、つまりカンラン石の海に浮かんでいるといわれる広大な大陸や海洋プレート、
は我々が考えているよりも小さな力で動くことが出来るのかも知れません。

海洋プレートがマントル層に沈み込むということは地球の中心に向かうことです。つまり
半径の大きい半球を半径の小さな球体の中に押し込むのと同じ状態になる。恐らく上部
マントル層ではスラブはきゅうくつな思いをしいると思います。断裂帯で分離・破断等で
複雑な状態になっているかも知れない。
そんな状態のスラブに連続的な圧力がかかれば、地殻深部やマントル層がかき混ぜられ、
マントル上層や付加帯、特に変成中の三波川帯にも大きな影響を与えると思います。

要するに、東赤石山のカンラン岩や結晶片岩はマントルの流動やスラブの異常な変動に
よって隆起させられたというのが私の勝手な想像であると言っておきましょう。(笑)

角閃岩は海洋プレートのスラブの一部で、エクロジャイト共々隆起してきたのでしょう。
変成岩の上部に有った脆い堆積層は、隆起の途中で海流や雨等で侵食されて無くなった。
東赤石山近辺に見られる小粒なガーネットの中には赤く高品質なものが有ります。
鉱物が地下深部から品質を保ったまま地表に現われるには、低温の場所を速いスピードで
上昇しなければなりません・・つまり水分を多く含んでいる冷たい海洋プレートに沿って
隆起することが必要です・・プレートから離れた高温の場所を緩慢に上昇していたのでは
高品質を保つことは出来ないそうですね。

太平洋中部には沢山の島や海丘、海底火山が有る・・キリバスやサモア、ポリネシア等
の島々がある海域ですね・・これについても想像してみました。
北太平洋で生まれるプレートは西に拡大していますが、南太平洋で生まれたプレートは北
よりに拡大します・・google earth でトランスフォーム断層を見ればよく分かります。
そうすると太平洋中部ではプレートがせめぎ合い凌ぎ合いの衝突となります。
そこで断裂帯が広がったり破壊されるプレートも出来ると思います。そうなればマントル
層がむき出しになりマグマが発生する環境にもなりますね・・そんなことで複雑な地形に
なったのかも知れません。

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黄色の矢印は上部マントルの流動方向

それからフィリピン海プレート・・このプレートの誕生は5,000万年前以降のようですが、
海嶺が有るのか無いのかよく分からないプレートで不思議な形をしています。
このフィリピン海プレートの西日本への沈み込みは、太平洋プレートに押されているから
だと思えます。
東日本に見られる火山群は太平洋プレートが100km以上沈み込んでいる上に並んでいる。
さてフィリピン海プレートのスラブは九州の下で急角度で沈み込み100kmに達している。
その為にマグマが生まれ、阿蘇や霧島、桜島などの火山群が存在しています。
でも、何故年代的に若くて厚さの薄いフィリピン海プレートのスラブが急角度で落ち込ん
でいるのでしょうか?・・それは前述の通りインド亜大陸北上によるマントル流の圧力で
急激に曲げられているからかも知れません。


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    日本列島下のフィリピン海プレート・太平洋プレートスラブの深度
  資料  http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/sec4.1.html
防災科学技術研究所ホームページ)
産総研シームレス地質図
Google earth

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