第275回『アウトローズ』(2025年)

激渋ケイパー・ハードボイルド

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『アウトローズ』
(Den of Thieves : Pantera)
2025年:アメリカ、カナダ、スペイン
監督:クリスチャン・グーデガスト


 『ザ・アウトロー』(2018年)の続編で、ロサンゼルス郡保安局の刑事ニック(ジェラルド・バトラー)と強盗犯ドニー(オシェア・ジャクソン・Jr.)という因縁の二人が再登場する。

 ニックは前作で取り逃がしたドニーの行方を追って、単身ヨーロッパへ。地元警察の情報を頼りにドニーを見つけ出し、密かに接触するが、結婚生活も破綻し人生のどん底に落ちている状態のニックは、なんとドニーの新たな強盗計画(世界最大のダイヤモンド取引所に侵入しダイヤモンドの数々を強奪しようというもの)に自分も参加させろという驚きの要求を突きつける。

 既にダイヤモンド取引所の会員として潜入することに成功していたドニーだったが、厳重なセキュリティーの貸金庫内部を探る手立てを見つけられないでいた。そこで刑事という肩書を持ったニックは役に立つ。ドニーは今回の強盗計画のメンバーたちを説得し、ニックを仲間として引き入れ、入念な準備の下、この壮大な強盗計画を実行に移す。

 ハードな刑事アクションとして、特に荒々しい銃撃戦の印象が強かった前作とは打って変わって、今作はどこまでも渋いケイパーものとして作り込まれている。

 前作で敵対した刑事と強盗犯が今作では奇妙な共闘関係を築き、壮大なダイヤモンド強盗計画に挑む……というかなりの変化球だが、ケイパーものとしては正統派な作りで、地味ながら計画の準備段階をじっくり見せる前半も面白く、ドニーたち強盗グループの計画実行を主軸に描きながら、そこにイタリアの巨大犯罪組織や強奪したダイヤの横取りを企む裏切り者グループなども加わって、スリリングな強盗シーンからハードなカーチェイス&銃撃戦へとなだれ込む終盤で一気に盛り上げ、そこからの二段階ヒネりで、ハードボイルドな男どうしの対決を『ヒート』(1995年)のその先の次元に持って行った見事なオチでスパッと〆る。久々に心底シビレる「男の映画」であった。

 前作に比べ、銃撃戦などの目立ったアクションはかなり少なめなので、その点での好みは大きく分かれそうではあるが、前作の荒々しいハードさとはまた違った、どこまでも燻し銀で渋く苦く男臭いハードボイルドさが作品全体に横溢している。そしてそんな男臭い世界の中で紅一点と言える強盗グループの司令塔クレオパトラ(エヴィン・アフマド)だが、これがまた屈強な男たちに負けず劣らずのタフネスを持ったかっこよさでシビレさせられる。

 派手さはほぼ皆無で、ひたすら渋さに徹したケイパーものの犯罪劇なので、ハリウッド的なアクション作品としての盛り上がりや山場の多さを期待すると肩透かしを食うかもしれないが、どこまでも男臭く苦み走ったハードボイルドの世界を好むタイプの映画ファンにはドンピシャの作品ではなかろうか。1970年代であればジョン・フランケンハイマーが、1980年代であればマイケル・マンが撮っていそうな、渋さと骨太さを極めたハードボイルド犯罪劇の傑作である。

 

(2026年1月25日)

プロフィール

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ニックネーム
わがままコブラ
性別
男
生年月日
1984年5月2日
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