第245回『呪いの黙示録 第四章』

怪異と呪いの人生劇場

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『呪いの黙示録 第四章』
2021年:日本
監督:寺内康太郎


 『呪いの黙示録』は、2020年の『第一章』から続く心霊ドキュメンタリー・シリーズで、現時点(2024年2月現在)では、『第十章』までの計10作品が製作されている。監督(この手の心霊ドキュメンタリーは「監督」ではなく「構成・演出」とクレジットされることが多い)は、『境界カメラ』(2018年~2019年)や『心霊マスターテープ』(2020年)などを監督した寺内康太郎がメインで、時折、代打的な感じで別のディレクターが舵を取るパターンもあるようだ。

 本シリーズは、どの作品も1章(DVD1枚)が1時間前後でまとめられており、その内訳として、単発の怪異映像3本と、調査もの(いわば本筋のドラマ・パート)が前後編などに分かれた2本(計5本)で構成されている。単発の怪異映像と、作品の軸となる調査もの(ドラマ・パート)がほとんど絡みがなく乖離した状態なので、この構成自体は正直あまり良いとは思えぬが、調査ものとしてのドラマ展開は寺内康太郎らしい旨味が出ており、『境界カメラ』や『心霊マスターテープ』が好きな人には楽しめる内容となっている(寺内が監督していない章はそうとも限らないが)。

 本作『第四章』はDVDの裏ジャケ表記では「構成・撮影 ウンノヨウジ」とあり、前作『第三章』と同じく寺内康太郎の代わりにウンノヨウジが舵を取っているのかと思ったが、本編内では寺内がディレクターとして姿を見せているし、演出の感じもどうも寺内作品の匂いが濃厚だなぁと思っていたら、エンドロールでは「演出 寺内康太郎」となっていた。詳しい内情は分からぬが、やはり本作は寺内康太郎のディレクションによる作品ではないかと思われる。詳細が分からぬので、あくまで推測の域を出ないが、先述した理由から、本作『第四章』は寺内作品として紹介する。

 本作もまず数本の単発の怪異映像があるが、こちらはもう見る側の好き好きで、作品の評価軸としては何とも言い難く、出オチ的な面白さの部分で個々の好き好きが分かれるだけだろう。肝心なのはドラマ・パートと言える調査ものの方であるが、こちらは安定の寺内節といった感じで、尺的にも小品ではあるが、やはり巧いなぁと感心させられる仕上がりとなっている。

 7年前に別の心霊ドキュメンタリー・シリーズのスタッフに送られ、お蔵入りとなっていた投稿動画と投稿者の手紙を『呪いの黙示録』のスタッフが掘り起こし、何となく興味を引かれるということで、これを『呪いの黙示録』チームで調査してみようということになる。

 怪異動画を投稿した女性は、母親が死んで以降、家での怪現象に度々見舞われており、母の遺品の中から「コックリさん」に用いたと思われるボロボロの紙が出て来たことから、母の死と「コックリさん」に何か関係があるのではないかと思い、母の死の真相を調査してほしいということで、友人と一緒に家での怪異を録画し、それを心霊ドキュメンタリーのスタッフ宛に送っていた。

 『呪いの黙示録』チームはさっそくこの投稿者の女性にコンタクトを取り、彼女の母親の過去と「コックリさん」との関係を探る調査を開始。徐々にその真相に迫ってゆく。

 「コックリさん」という使い古された題材で、調査ものの心霊ドキュメンタリーとしても目新しさがあるわけではないが、幼い頃に出て行った父の顔を知らず、女手一つでも優しく育ててくれた母とは良い思い出しかなかった女性が、母の死の真相を知りたい一心で調査を依頼し、どうにか地道にその真相にたどり着いたとき、それを知らずに生きていた方が良かったと思えるような地獄を見せられる……という何ともヘヴィな人生ドラマが展開される。

 そしてその絶望に打ちひしがれた女性の顔を執拗にカメラがアップしていく、というこれまた何とも厭ぁ~な撮影者側(延いては観客側)の業を見せつけてからの暗転で物語は終わる。

 呪いや怪異それ自体も恐ろしいが、そのような呪いや怪異に取り込まれたり、時には自ら呪いや怪異を生み出すのは我々人間サイドの生々しい業であり、そういった人間の業と無常観を、ホラー作品という枠組の中で味わい深い人生ドラマへと昇華させていく本作のような作品は本当に面白いし、恐ろしいし、感心させられる。呪うも呪われるも人間であるがゆえの因果なのだ。

 そして呪われて地獄に堕ちる人間たちの姿を見世物にして悦びを得る我々自身の魂も、既にある種の呪いにかかっていると言えるのかもしれない。

 

(2024年2月19日)

プロフィール

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わがままコブラ
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生年月日
1984年5月2日
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