第244回『ほんとにあった! 呪いのビデオTHE MOVIE 2』

白石ワールド前夜の萌芽

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『ほんとにあった! 呪いのビデオ THE MOVIE 2』
2003年:日本
監督:白石晃士


 オリジナル・ビデオ枠の心霊ドキュメンタリー・シリーズ『ほんとにあった! 呪いのビデオ』は、1999年に始まり、現在(2024年2月現在)も続く長寿シリーズである。白石晃士監督は2002年~2003年にかけて、このシリーズのオリジナル・ビデオ版2本(『Ver.X:3』『Ver.X:4』、共に2002年)と劇場版2本(『THE MOVIE』『THE MOVIE 2』、共に2003年)を監督している(厳密に言うと、「監督」ではなく「構成・演出」とクレジットされている)。

 ゼロ年代初頭は、白石監督の商業作品監督としてのキャリアの最初期に位置すると思われるが、本作『ほんとにあった! 呪いのビデオ THE MOVIE 2』は、後にそのトレードマークとなる独自性の強い白石ワールドの萌芽が既に見て取れる作品となっている(前作『ほんとにあった! 呪いのビデオ THE MOVIE』は、かなり手堅く抑えた心霊ドキュメンタリー然とした仕上がりで、そのジャンルとしての面白さは担保されているものの、白石作品としての独自性は希薄だ)。

 旅先で撮影した動画に謎の影が映り込んでいた若い女性3人。老人が車に轢かれた交通事故現場をたまたま撮影し、その動画に謎の声らしきものが録音されていた若い男性2人。どちらの若者の周囲にもその日から不可解な出来事が起こり始め、病人や怪我人や失踪者まで出てしまったことから、それぞれが『呪いのビデオ』のスタッフに調査を依頼する。そして当初は全く関係ないと思われていたこの2組にまつわる怪現象が、事故に遭った老人を軸とした呪いの連鎖であることが分かり始める。

 「不可解なものが映り込んだ(録音された)動画」の投稿から調査が始まる、という序盤の導入部は、この手の心霊ドキュメンタリーの定石をそのままストレートに展開させていて、そこには特に「よくある心霊ドキュメンタリー」という以上の面白さはない。

 しかし中盤からの話の転がり方に、後の白石作品を思わせる独自性の強い面白さが表れ始め、ラストに向けてそれがどんどん膨らんでゆく。

 中盤、投稿動画に録音された謎の声らしきものが一体何と言っているのかを、渋谷の街の人々100人にランダムに確認してもらう、というくだりがあり、本作はここから一気に面白くなる。この街頭調査を伏線とした、かなり手の込んだミスリードなどの仕掛けも器用に絡ませながら、かつて存在した寒村の飢餓対策としての恐ろしい風習にまで話を拡げ、終盤は投稿者の1人である若い女性を巫女的なヒロインとして、呪いの核心に迫ってゆく。

 まだ爆発的な何かがあるわけではないが、日々量産される心霊ジャンル作品の中で、どうにかして自分らしい爪痕を残してやろう、という気概のようなものを本作には感じる。そしてそのわずか2年後に、白石ワールドの明確な出発点とも言える傑作『ノロイ』(2005年)を撮り上げたことを思えば、監督としての覚醒のスピードに驚異的なものを覚える。

 この時期の他の白石作品(関連作)も複数見てみないことには分からぬ点も多いが、とはいえ、本作『ほんとにあった! 呪いのビデオ THE MOVIE 2』が、白石監督の後の爆発的な個性へと至る萌芽を観測出来る1本として、かなり貴重な存在であることは間違いない。

 

(2024年2月5日)

プロフィール

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ニックネーム
わがままコブラ
性別
男
生年月日
1984年5月2日
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