第184回『コマンドー』

ただただ面白さを追求した娯楽アクションの極致

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『コマンドー』
(Commando)
1985年:アメリカ
監督:マーク・L・レスター


 子供の頃にテレビの洋画劇場で見て以来、何度も見ている作品で、あまりにも「当たり前」な作品というか、そこまで面白いとかつまらないとか考えずに、「よくある80年代ド派手マッチョ系アクション」として接してきた一本なのだが、先日、久しぶりに何気なく再見したら、「あれっ? こんなに面白かったっけ!?」と驚くほどに面白かった。

 現役を退き、娘と二人で静かに暮らす元コマンドーのメイトリックス(アーノルド・シュワルツェネッガー)が、ある日突然、娘を人質に取られ、汚れ仕事の暗殺任務を強要される。任務を引き受けねば娘の命はない。彼は娘を救うべく悪い奴らを皆殺しにし、一人で敵組織を壊滅させる。

 要は「舐めてたシュワちゃんがいつもの最強シュワちゃんだった」というだけの何のヒネりもない娯楽アクションなわけだが、この「何のヒネりもない娯楽アクション」としてのシンプルな面白さを極限まで引き出すことに成功した傑作である。ただただ娯楽アクションとしてのシンプルな面白さを追求し、中弛みもなく見せ場から見せ場へと疾走する約90分。

 開始10分くらいでどんどん話が転がってゆき、あとはもうシュワちゃんが「暴力こそジャスティス!」と言わんばかりに悪い奴らを問答無用に殺しまくる。

 高カロリーで大雑把な味付けのように思えるが、改めて見ると、無駄のない作り込みでブラッシュアップされた、非常にレベルの高い娯楽作だということが分かる。アクションもただ派手なドンパチや大爆破だけでなく、細かな格闘シーンにもキレがあって、「当時のシュワちゃんって、マーシャルアーツ的な身のこなしも悪くなかったんだな」と今さらながら感心させられた(この点を考えると『トータル・リコール』(1990年)でのアクション演出は大雑把だなと思わされる)。

 また、巻き込まれ型のヒロインや誘拐される娘も、「ただ守られる」「ただ怯える」か弱い存在ではなく、自ら率先して行動する自律性あるキャラクターとして描かれている点もとても良い。マッチョな男臭いアクション映画においては、女性キャラが「か弱い被害者」や「恋愛及びセックスの対象」としてだけ機能していて興ざめさせられるパターンが非常に多いからだ。

 とにもかくにも「筋肉モリモリマッチョマン」のシュワちゃんが悪い奴らを問答無用に皆殺しにしていく、というその一点を盛り上げるための映画と言って間違いないが、その一点を盛り上げるための細部のブラッシュアップ(ドラマ性やお色気要素など、娯楽アクション映画にとって足枷になりやすい余分な贅肉の削ぎ落し)がとても効果的に作品の質を底上げしており、その点は同時期の『処刑教室』(1982年)や『炎の少女チャーリー』(1984年)といった作品にも見られる、マーク・L・レスター監督の「娯楽バイオレンス職人」としての腕の良さがよく表れている。

 今さら改めて称賛するまでもない人気作ではあるが、数あるシュワちゃん主演作の中でも、『プレデター』(1987年)と並んで「ブラッシュアップされた娯楽アクションの傑作」として輝き続ける一本だろう。ここまで娯楽アクションとして純化された作品は、なかなかありそうでない。

 

(2021年6月16日)

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わがままコブラ
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1984年5月2日
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