第17回『ミーン・ストリート』

まわり道でも道は道


『ミーン・ストリート』
(Mean Streets)

1973年:アメリカ
監督:マーティン・スコセッシ


 およそ「青春」などという響きとは無縁のつまらぬ10代・20代を過ごしてきたのだが、そんな実人生とは裏腹に、いわゆる「青春もの」と呼ばれるようなたぐいの作品は割と好きだ。

 といっても、私が求めるのは森田健作とか『スクール・ウォーズ』とか金八先生とか、ああいった青春ではもちろんなくて、登場人物が暗かったりダサかったりだらしなかったりするような、ほんの少しでも自分との共通点を見出せる「情けない青春」である。

 有名どころでは、『青春群像』(1952年)、『エデンの東』(1954年)、『真夜中のカーボーイ』(1969年)、『サタデーナイト・フィーバー』(1977年)あたりが、何度見てもグッときてしまう「情けない青春」を描いた作品だ。

 そんな「青春もの」で、じゃあ何がいちばん好きかと考えてみると、多少迷いつつも、今まで見た中ではマーティン・スコセッシ監督の『ミーン・ストリート』だろうか。最近になって久々に見直してみたが、やはりこれも、何度見てもグッとくる作品である。

 ニューヨークのイタリア人街に暮らす主人公チャーリー(ハーヴェイ・カイテル)は、信心深く人当たりの良い性格だが、フラフラと人生に迷っている半端なヤクザ者だ。

 この界隈で顔の利く叔父の計らいで、近いうちに自分のレストランを持てることになっており、そうなれば自分も一人前の人間としてやっていけると信じて生きている。そんなチャーリーの親友であるジョニー・ボーイ(ロバート・デ・ニーロ)は、オツムのイカレた困ったちゃん。

 仕事もせずに周りの人間に借金をしまくっては「飲む・打つ・買う」をくり返し、懐は常にスッテンテン。その上、誰かれ構わずケンカを吹っ掛け、挙句はアパートの屋上で「エンパイア・ステート・ビルを狙ってんだ」などと言いながら銃をブッ放す。

 とにかく「ここまで感情移入できないキャラもなかなかいないなぁ」と思わせるほどの徹底した迷惑野郎なのであるが、チャーリーは根っからのお人好しなのか、そんな敵の多い親友ジョニーをひたすらかばうのである。

 全く先のことを考えず、破滅的に突っ走るノータリンのジョニー。ひたすらそれをかばうお人好しのチャーリー。周りの人間もそんなチャーリーのお人好しぶりを見かねて再三忠告するが、それでもチャーリーはジョニーを見捨てることができず、自分の首を締めながら親友をかばい続ける。

 もちろん、こんな状態がいつまでも続くわけもなく、暴走するジョニーとそれをかばい続けるチャーリーは次第に追い詰められてゆく……。

 陰気でケチくさい、全くもってしょーもない「青春」なのだが、それでもやはり好きにならずにはいられない魅力を持った作品だ。男ばかりでダラダラと酒を飲んでいるシーンなどは、私にとっては「これぞ青春!!」と思えるような名シーンである。

 酒と遊びと人生の浪費。

 自分にとっての「青春」とは、まさにこの映画で描かれていることだ。

 

(2011年6月7日)

プロフィール

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わがままコブラ
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1984年5月2日
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