壁の先の恋
第60話
上司
それは新鮮な形での待遇だった。
俺たちグリード隊は、アンドレ―空軍基地、いや、エルムート連邦空軍の所属部隊として
任務にあたっていた訳だが、エルムートの事実上滅亡と一緒に、事実上解体させられた。
ヒューズ大尉たちは、グラーニン連邦南部の空軍基地に配属になった、という。
階級の高いあの二人は、もっと高度な訓練を受けると共に、グリード隊での経験を活かして
最前線で勤務することになったのだろう。
ここは、アルハン空軍基地。
オーシア大陸でもっとも寒い土地にあり、最北部の拠点でもある。
温暖な気候で有名なオーシア大陸でも、「雪」が降ることを俺たちは初めて知った。
そして、これからの季節。
初めて雪に出会うことになるだろう。
俺たちを雇ってくれたのは、アルハン空軍基地の司令官であり、グラーニン連邦軍の
アダムスキー大佐だ。
年齢こそ若くは無いものの、老練な兵士であり、そして温厚な性格を持つ。
基地内の権限は彼に集まっており、指揮権なども持っている。
俺とラッツは、お互いに少尉という階級でこの地に配属になった。
グリード隊で戦績を積み重ねてきた、という評価のもとであろう。
空軍パイロットの中で、5本の指に入る階級となった。
「大佐、おはようございます」
カリウスとラッツが司令室の中へと入っていき、大佐に挨拶をする。
大佐は新聞を読みながら、右手に珈琲の入ったマグカップを持った状態で
挨拶を返した。
彼らの教官生活は、これから始まるのだが、まだ彼らにはどういったことをしていいのか、
ハッキリと分からないし伝えられていない。
「お、おぉもうそんな時間か」
「他のパイロットも、既に揃っております」
ラッツがそう言うと、大佐は軽く右手をあげて了解のサインをだし、
その場に立ちあがった。
そして司令の集まった掲示板を見ながら話す。
「グラーニン連邦の機体は、エルムートとは異なるものが多いだろう。
まずは、彼らと一緒に飛んでみてほしい」
「彼ら?」
「これから、君たちが教えることになる、パイロットたちとだよ」
そう指示され、とにかくもグラーニン側の戦闘機に慣れることと、
自分たちが教えるパイロットたちのことを覚えることから始まる。
二人は大佐の話を聞き終わった後、若い整備兵に案内されて、外へ出る。
「少し、肌寒いな」
カリウスが小声で話したのが整備兵には聞こえていたらしく、笑顔で答えた。
「夏場はこのあたりが一番過ごしやすいんですよ。オーシアは全体的に温暖気候ですが、
この地方は北極圏に近いだけあって、雪も降る。あと一週間もすれば、このあたりも
積もっているかもしれませんね」
「そうなると、除雪ってやつが必要になるんだろう?」
ラッツが興味深そうに整備兵に話す。
雪が降り続けると飛行機の離陸に支障をきたす。
「その通りです。・・・お二方の乗る戦闘機はこの3番格納庫の中にあります。
最新鋭・・・とは言いませんが、全天候型戦闘機です」
「全天候型?」
「つまり、様々な気候の下でも機体性能が維持できるようにしてあります。
この国の場合では、雪ですね。設計局が寝る間も惜しんで開発したのが、その機体です」
エルムート連邦にいた時代、全天候型という言葉さえ
きいたことのなかった彼らは、グラーニン連邦の技術力の高さを知った。
その技術力は一体どこから来ているのか、彼らは気になっていたが今は特に
聞くことは無かった。
格納庫に入ると、恐らく自分たちがこれから教えることになるであろうパイロットが
8名いた。
カリウスとラッツ。合わせて10名。
その姿が見えた瞬間、兵士たちは一斉に、勢いよくその場に起立し、敬礼した。
二人も、なんとなくぎこちない感じで敬礼を返す。
「座っていいよ」
全く上司としての風格が無いカリウスが、そう指示する。
皆が一斉に座る。
ラッツとカリウスはその場で小声で少しだけ打ち合わせをする。
「こういうまとめ役は、お前さんに任せるぜ」
「えぇ・・・」
「大丈夫だって。俺もサポートする」
わずか10秒の打ち合わせの後、カリウスは一歩前進して皆に話し始めた。
「先日よりアルハン空軍基地に配属になった、カリウス少尉だ。そしてこちらが、同じく
ラッツ少尉だ。これから君たちの指導にあたるので、顔と名前くらいは覚えておいてもらいたい。
それから・・・あまり、堅苦しくならないでほしい」
そう言った瞬間に、兵士たちが驚いたような表情を見せた。
カリウスは冷静に、また言葉を話し始める。
「無論、真剣になるときは真剣にする。だが、いつもそんな状態では、精神状態が
不安定になってもおかしくはない。だから、俺たちが上司だからと言って、委縮しないで
欲しい。他の上司にはそれ相応の態度を示すべきだが、俺たち二人にはあまり
そういうものは必要ない。出来る限り軍事に関しては教えるし、それ以外のことに
ついても、何なりと話してもらいたい。・・・いいかな」
各々、短く返事をする。
上司からまさかそう言った話をされるとは予想していなかったのだろう。
今でも驚いた表情を見せる兵士がほとんどだ。
それを聞いていた、案内役の整備兵は笑顔を浮かべながら、近くでその話を聞いていた。
「では、取り掛かるとしよう」
・・・。
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プロフィール

- ニックネーム
- wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
意味:魔術師 - 性別
- 男
- 血液型
- 非公開
- 生年月日
- 西暦1994 (平成6)年
8月15日生まれ。 - 現住所
- 北海道札幌市のどこか!
- 職業
- 高校三年生。
- 好きな映画
- トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc... - 紹介
- 始めまして。
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今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。
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