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壁の先の恋


第57話

HOT LINE




連邦軍は、帝国軍の圧倒的な力の前に成す術がなかった。
その力を以て首都を支配した帝国軍の、アークス大陸支配もそう遠くは無いだろう。
西側の新聞や、別の大陸では既にそう言った話があがっていた。
連邦陸軍の敗走続き。どれだけ空軍が有能でも、地上を支えられない以上
戦争に勝ち目は無かった。

臨時政府は今、東海岸沿いの古風な街に設置されている。
我先に逃げ出した政府の首脳たちの集まりだ。市民からの反発は強かった。
と、同時に軍人たちからも非難の声が上がっていた。
国のために尽くしているはずの軍人が、軍人を操作する政府によって見捨てられた。
彼らは助かっても、軍人は助からない。
そんな現在の連邦の体制に、ハンスは怒りを表す。


どんなに頑張っても、こんな腐った国家で縛られていては、戦争など
終わらせることは出来ないだろう、と。


段々と、冬へと向かっていく。
1877年11月。

「結局、上からの指示はまだないのか」
「あぁ・・・」
カリウスがキッチンで料理を作っているところを、ハンスは椅子に座って眺めながら
話をしている。この貨物輸送施設はそれほど大きくは無いが、貨物の中には軍事用として
前線に送り届ける予定だった物資が大量にあり、彼らはそれを使って食事をしていた。
もう既に使い道のない物資を腐らせておくのはもったいない、と。

「臨時政府の活動も、目立っていないからね。ある意味帝国から目をつけられないとは
思うけど・・・そういえば、帝国は首都を再建するのかな」

「と、いうと?」
ハンスが疑問を投げかける。
「めちゃめちゃに破壊した首都を修復して、自分たちの街にするのかどうかって、ことさ」
「奴らにどれほどの愛国心があるかは分からないが、やっぱり帝国色に染めたいと
思うんじゃないか?」

「やっぱり・・・そうかな」
取られたものは取り返す。本来であればそうしたいのだが、現状無理であった。
どう足掻こうと、結果は見出せない。


その頃。
臨時政府の置かれた街。臨時政府といってもほとんど名ばかりで、
機能しているとは思えない。
この古風な街には、首都から流れ着いた人々が溢れるほどいて、宿泊施設は
どこも満席という状態であった。
この街が南北に広くて助かった面もあるが、いつまでもここにいる訳にはいかない。
帝国はそのうち、この街にも手を出すだろう。臨時政府が降伏しない限り、この戦争に
終わりは見えないのだ。

大統領の執務室。
そこに今日、一本の電話が掛かってくる。
11月2日。14時32分。


「大統領ですかな。私は、グラーニン共和国連邦の、ヴォドニク首相です。
覚えていますかな?」


グラーニン共和国連邦。
この世界に3つある大陸の、「オーシア」と呼ばれる大陸にある国。
中央大陸アークスより更に東に進んだところにある、大規模な大陸だ。
グラーニン連邦はオーシア大陸の北部を領地としていて、大陸内にあるどの国家よりも
大きい。それなのに、国家としては大陸内で一番人口が少ない。

「ヴォドニク首相・・・久しいです。ホットラインとは・・・どういった事情ですか?」
「名ばかりのホットラインなど必要ありませんので、それなりの事情を持ち込みました。
先日の・・・首都決戦のお話は既にこちらの方にも入っております」

「お恥ずかしい点晒すことになり、面目ありません」
「気になさらずに良いのです。貴方がたの戦力が一歩及ばなかった、と思えば。
陸軍がほぼ全滅の状態にあり、空軍戦力も数えるほど。一般市民は東海岸に集結し、
溢れかえって雇用事情も無い。・・・大統領、どうするおつもりです?今後」

「具体的な話は協議中です」

「それは良かった」
「良かった?」

「こちらから提案があります。我々が、貴方の国を保護する、という形を取りたい」
「保護・・・ですと?」

大統領も予想していないような話が来た。
ホットライン、緊急という意味がここでもまだ理解出来なかったが、時間があまりないことを
相手は伝えてきている。
恐らく国家間の駆け引きなのだが、グラーニン連邦はフレスベルド帝国が大陸全土を
支配する前に保護したい、という考えで直通を送ってきたと大統領は考えた。

「このままではエルムート連邦は滅亡する。人々は帝国の独裁制に飲み込まれ、
収容所行きや、過酷な強制労働生活となるでしょう。我々グラーニン連邦も、前から
帝国のやり方には賛同できなかった。この戦争が始まる切っ掛けを作り出したことも。
降伏するよりは、逃げて再興の機会を狙う。悪い話ではないと思うのですが・・・」

「・・・見返りは?」

「我々は一般市民を助けたい。幸い我が国は人口が少ない。土地は広い。
恐らく希望者全員の移送は可能でしょう。決断次第では、11月下旬には移送を
始められるでしょう。住宅などの建設は、我が国優秀な建築大企業にお任せください。
ただし・・・こちらの国に来てもらった人には、町の建設や軍事に協力していただきたい。
他にも様々です。条件などは後々文書でお届けします。政府内部でこの話を討議し、
結論が賛成であるなら、その条件を連邦市民に提示し、希望者を募って下さい。
難しいことではないはず・・・よろしいですね?」

「・・・即答は出来ません。ですが、政府内で話し合うことにします」

「それで良いのです。なお、決断までの期間は3日間とします。3日後、5日の15時までに
返答が得られない場合は、この話は無かったことになります。そして・・・この『共同戦線』は
帝国をウォルディア山脈東部から追い払うまでの契約となります。どうか、前向きな回答を
よろしくお願いいたします。・・・では」



事態が、新たな局面を迎える。
帝国の知り得ないところで。


・・・。



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Alliance of Valiant Arms

プロフィール

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ニックネーム
wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
 意味:魔術師
性別
男
血液型
非公開
生年月日
西暦1994   (平成6)年
8月15日生まれ。
現住所
北海道札幌市のどこか!
職業
高校三年生。
好きな映画
トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc...
紹介
始めまして。
このホームページの管理者のwizardです。
いつもご利用いただき誠にありがとうございます。
今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。

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