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壁の先の恋


第48話

訓練




首都近郊まで帝国軍が迫っている。
もし彼らが首都を制圧したら、この戦争は終わるかもしれない。
連邦市民の中には早期終結の想いから、自国が負けても戦争が終わってほしいと
願う人さえ増えた。
その中で台頭する軍事政権。徹底抗戦の旗印。
帝国軍が知るよりも深い事情が、今のエルムート連邦共和国にはあった。

翌日。
キルヒアイス少佐とブライト大将は郊外の基地を訪れた。
久々に基地に来て、彼らの訓練を見ようというのだ。
既に首都に帝国軍が接近しているだろうに、訓練だけはかかさず、毎日空へ飛ばしている。
いざ実戦になった時、冷静に、また普段通りの空戦が出来るように、という配慮だった。
戦闘機の燃料費は国家予算で賄われているが、莫大な予算が必要であった。
帝国に占領されるまでずっと採掘を続けていた、山脈の北部と南部の資源が未だに
残り続けていて、その資金も底をつくところはまだ見えない。

グリード隊も演習に参加していた。
上層部は彼らの働きを今後も期待しているが、他の部隊の強化も迅速に行っていた。
首都防空任務部隊は精鋭の集まりだが、グリード隊の実績に比べればか細い。
恐らく来るであろう首都決戦に実戦配備をすることは間違いない。
ブライトの考えもそこに一致していた。

しかし。
今度の戦いで実績を残すためには、撃墜されることなく、首都を奪われないことが
絶対条件となる。

「私が考えていた空軍構想・・・それとは異なる飛び方を、彼らはしているのかもしれない」
「え・・・?」

思わずキルヒアイスが驚いたような言葉を発した。
ブライトの見る彼らの飛び方。敵のいる空を飛びつつも華麗に、自由に旋回し、
自分のペースに引き込む戦い方をする。
演習でもその姿は感じられた。その息が合っているからこそ、彼らは空戦でも地上戦でも
恐ろしいほどの戦果を発揮してきたのかもしれない。

演習終了後。
彼らはカリウスを応接室まで呼び出した。
グリード隊の中で最も気になった飛び方をした彼に対する、ブライトの要求だった。

「初めまして、だな。カリウス君」
「はい。ブライト大将」

ブライトは心臓の奥深くまで伝わる刺激を感じた。
たった一言、ほんのわずかの言葉を交わしただけでも感じるものがあった。
今まで話してきた人とは何かが違う。
一瞬で彼はそう感じ取った。

「過去の撤退任務や防空任務での活躍はお見事だった。毎回いい形をもたらすことが
出来ず、首脳部も苦悩しているところだ。カリウス君の活躍は・・・我々だけでなく、
敵軍にも知られている」

カリウスは、改めて自分の存在が注視されていることを悟った。
それは敵に対してもそうだが、同時に味方の士気に関係する存在なのだということも
理解した。

「自分はまだ子供です。軍人とはいえ、お役にたてる範囲は狭い」
「いや、そんなことはない。君が戦闘機を操っている間は、間違いなく我々の力に
なってくる。自覚がなくてもだ」

「しかし・・・私は、好き好んで軍人になろうと思った訳ではありません」

カリウスにとってそれは失言であっただろう。
一度言ったことは取り返しがつかない。
しかし、ブライトは少し申し訳なさそうな表情を彼に向ける。

「分かっている。我々も・・・子供に頼る戦争を後悔している。出来ることなら、拘束された
空を飛ぶのではなく、自由に周りを見られる空を見せてあげたい。だが、君にも
分かっているはずだ。自分が飛ばなければ、今後自分がどうなってしまうのか。
後戻りの出来ない世界に君を連れ込んでしまったことは謝る。だからこそ、この状況を
打開するために、力を貸してほしいのだ。今・・・我々は帝国軍という壁の他にもう一つ、
内政という壁に直面している。二種の壁は我々の行動を大きく左右するだろう。
空軍戦力が上層部から操られる人形とならないよう・・・君にも、協力してほしいのだ」


大将や他の空軍担当者、上層部が直面している壁。
彼はそれを身近なものに感じ取った。
深刻な事態が連邦軍の行動さえも制限する日が来るのなら、この戦争の勝ち目は
全くなくなるだろう。

今は、まだ事は起きていない。


・・・。


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Alliance of Valiant Arms

プロフィール

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ニックネーム
wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
 意味:魔術師
性別
男
血液型
非公開
生年月日
西暦1994   (平成6)年
8月15日生まれ。
現住所
北海道札幌市のどこか!
職業
高校三年生。
好きな映画
トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc...
紹介
始めまして。
このホームページの管理者のwizardです。
いつもご利用いただき誠にありがとうございます。
今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。

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