壁の先の恋
第47話
老兵ブライト
そううるさくない夜の街に待っていたのは、地上車両とキルヒアイス少佐だった。
ブライト空軍司令官とキルヒアイスは密接な関係にあり、ほぼいつも行動を共に
しているといっても良い。
会議が終わって作戦本部まで戻る道のりを、彼が護衛することになる。
ブライト大将が車に乗って、動き出す。
「どうでしたか」
「頑固なものだ。全く話を受け入れようとせん」
「駄目ですか・・・」
キルヒアイスやブライトの考えている「内部分裂」が現実のものにならないように、
その一歩限界のラインで彼らは物を言い続けている。
今政府の中には、ブライト派とロボス派が存在している。
ブライト側は慎重派、ロボス派は過激派として裏では言われ続けている。
「我々に権限がもっとあれば、ロボスも防ぐことが出来るのだろうが・・・無理な話だろうな」
「そう言わないでください。前よりは格段に範囲が広くなっているのですから」
「そうだな・・・もう少し、見極めが必要だったか」
車は夜の街を進んでいく。
人通りが少なく、すれ違う車の数も前より少なくなっている。
ロボスは外を見続けていた。
すると、キルヒアイスが話しかけてきた。
「そういえば、昼間グリード隊の人に会いました」
「おぉそうか。私も、一度顔を見ておきたいと思ってな」
「まだ二十歳にも満たない子供でした・・・」
それを聞いた瞬間、ブライトの心の奥底では痛みが発生した。
「この歳で有名になるとはな・・・苦労ばかりだろう。出来る限り支えていきたい
ところだが、この情勢ではそうもいくまい」
「ですが、彼らは貴重です。腕も、人材も、政治的にも・・・」
「最後のは、皮肉じゃな。本当なら彼らは軍に勤務する必要などなかったのだ。
この戦争が始まらなければ・・・」
思い返せば、やり直せる部分は数多くあったであろう。
しかし、大人の世界にやり直しなどない。
それが現実の厳しさで、軍部の圧力となっていた。
失敗が許されない以上、完璧を目指していつでも準備していなくてはならない。
その思いがキルヒアイスやブライトの中にはあった。
連邦空軍総作戦本部。
空軍の統括機能がすべて結集している、国一番の部署。
首都郊外の空軍基地とあらゆるポイントから繋がっている。
通信はもちろん、移動手段に地下通路まで存在している。
二人は玄関から入ってエレベーターに乗り、ブライトの執務室まで移動する。
「また、ごちそうになります」
「いやぁ構わんよ。若いのがいてくれた方が、私も楽しいからな」
彼らはお茶をしながら、グリード隊についていろいろと調べた。
今の状況、昔の状況。戦績、履歴、個人情報など。
「今日私が会ったのは、カリウスとハンスという男です」
「二人ともグリード隊での経歴は浅いのか。ハンス君はまだ訓練兵から上がってきて
離れしていない感じもするが・・・カリウス君は驚きだな」
「えぇ。訓練の最中スクランブル司令が入って、無事に任務を遂行。我々の派遣員の
目に留まって、その情報が今ここにある、と・・・」
「その後も各地で戦果を重ねている。有能なパイロットだな」
ブライトはカリウスの戦績を見て驚いていた。
カリウスもハンスもまだグリード隊はおろか、実戦経験がかなり浅いのに、
空戦での戦績が恐ろしいものであった。撃墜数は二桁を越え、味方の撤退のために
上空の制空権を守り続けたくらいのものだった。
一般の空軍兵士でもここまで戦うことは出来ないだろう。身体的にも、精神的にも。
「明日にでも、およびしましょうか?」
「明日訓練は行われる。私も、基地まで行ってみるとしよう」
・・・。
47/63
プロフィール

- ニックネーム
- wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
意味:魔術師 - 性別
- 男
- 血液型
- 非公開
- 生年月日
- 西暦1994 (平成6)年
8月15日生まれ。 - 現住所
- 北海道札幌市のどこか!
- 職業
- 高校三年生。
- 好きな映画
- トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc... - 紹介
- 始めまして。
このホームページの管理者のwizardです。
いつもご利用いただき誠にありがとうございます。
今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。
カテゴリー
最近の記事一覧
アーカイブ
携帯用QRコード
