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壁の先の恋


第34話

逃亡




 「なぜ私を助けたの」
唐突にその声が聞こえてきた時、カリウスの背中が刺激され彼は振り返った。
今は一切の表情も浮かべない彼女が、そこに座っていた。カリウスは毛布を彼女に渡し、
ソファーに座って話した。
「俺は軍人になろうと思って士官学校の生徒をやっているわけじゃない」
その言葉を聞いた瞬間彼女は察した。軍人には敵軍を思いやるような精神は存在しない。それは戦いに慈悲が無いのと同じことで、常に敵同士で戦う相手にとって、国に尽くして敵を滅ぼすのが当たり前のこと。もしタチの悪い人に捕まっていたなら、家に連れてこられることも、毛布を渡されることもなかっただろう。
それは即ち、軍人にはない感情をこの人は持っている、と彼女は考えた。
「・・・優しいのね」
そう、彼女は言った。


彼の中に彼女を若干意識するようになったのは、彼が空で彼女の声を
聞いたときだった。
最初は、帝国は女性でさえ戦場に駆り出されるのかと思っていたが、今日。
この夜にそうではないことを知った。彼女は自分の意思で軍人になり、軍人として連邦兵士を
殺している。
そう考えると、彼の立場は彼女とは真逆になる。

容姿端麗で髪の長い、背もわりと高い彼女。
その眼は何か、何かを訴えているように見えた。
自分が国家のために戦う兵士としての何かなのか、それとも「国家」とは関係無くして、
彼に訴えているものなのか。
その時は、気付かなかった。
紅い羽は輝かない。ただ、月明かりに照らされるのみ。


翌日。
大した会話も無かったが、不思議な夜だった。
敵軍兵士、しかも女性と一晩を明かしたのだ。彼はずっと目を開けていたが、
彼女は目を閉じて黙っていた。恐らく寝てはいないだろう。敵軍兵士を目の前に
眠るようなことがあれば、どのようなことが起こるか分かったものではない。
彼はそう考えていた。

しかし、実際のところ彼女はそこまで深く考えていなかった。

彼は彼女を連れ出し、家から廃墟に近いアンドレー空軍基地までの道のりを
歩く。司令部に送り、この先彼女がどうなるのかは分からない。
彼には知る権利はない。ただの兵士で、経緯を説明すればそれで終わるだろう。

・・・だが、その時だった。
突然背後から聞こえてくる、爆音。
徐々に近づいてくるのを感じた彼は、すぐに振り返った。

帝国軍の、レシプロ戦闘機。


「何っ・・・」
声にもならない驚きがカリウスを強襲した。それと同時に火は放たれ、目の前で
大爆発を起こした。一瞬何が起こったのか理解できなかったが、後に自分の目の前に
爆弾が落とされたことを悟った。直撃はしなかったものの、激しい振動と爆風が
彼を襲い、猛烈な勢いで転倒させられた。
そばには、誰もいない。
激しい戦闘機のエンジン音が凄く近く聞こえる。衝撃によってカリウスの体は傷つき、
動きと思考を鈍らせた。自分のそばにいたはずの彼女、オードリーがいない。
もしかして、今の爆風で飛ばされたのだろうか。

・・・いや、待て。
だとしたら、なぜ帝国軍は帝国兵士を襲った?
殺す理由があったのか?それとも何かの罠だったのか?

不意に彼の思考が覚醒し、一つの考えを生み出した。近くに複葉機が着陸しているところを
見て、その考えは確定した。

「貴方の優しさ・・・覚えておくね」
今度は五月蠅いと思っていたエンジン音が虚しく聞こえ始めた。遠ざかっていく音の最中、
自分の足元には星の付いた服の襟と思われる部分が落ちていた。
星は、3つ付いていた。

・・・。



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Alliance of Valiant Arms

プロフィール

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ニックネーム
wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
 意味:魔術師
性別
男
血液型
非公開
生年月日
西暦1994   (平成6)年
8月15日生まれ。
現住所
北海道札幌市のどこか!
職業
高校三年生。
好きな映画
トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc...
紹介
始めまして。
このホームページの管理者のwizardです。
いつもご利用いただき誠にありがとうございます。
今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。

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