壁の先の恋
第25話
初陣
「ハンス・・・!?」
閉ざされた格納庫に眠り続けていた、演習機。
それは元々コールサイン、グリード7で知られる新人隊員、カリウスが演習時に
使用していた機体。使い込まれ、古びたものすら感じる。
そして、その演習機とは、士官学校で誰もが教わる機体の仕組みで、その代表に
あげられている機体だった。
「空軍飛行士以外の者か!やめろ!そいつは本物の戦闘機だ!」
管制塔の管制官からは必死に止める声が上がっている。さすがに管制塔内も焦りの
表情が多々浮かんでいる。しかしその中、ルーウェン大佐のみ、いつもと変わらぬ
無表情の中に、温厚な性格を浮き出している。
「自分は士官候補生です!この機体なら、授業で何度も教わったし、図面も確認した・・・!」
「戦時下にそんな行為が許されると思っているのか!?」
「今すぐ降りろ!整備長何をしている!」
その無線は格納庫内にも響いて聞こえている。
音声を聞くだけで管制塔の慌てようが聞こえる。その中、整備長がマイクに向かって
わりと大きな声で話しかけた。
「ピンチの時には《猫の手も借りたい》ってことわざがあるだろう!?」
管制塔の管制官が突然黙り込んだ。
確かに非常時に人手不足で機体も無いといえば、余っている機体でも空に上げて
迎撃に向かわせたい。しかし、それには危険が伴う。
それに、制空権が確保できていない状況下での離陸は、敵にとっては格好の的になる。
「整備長の言う通りだ。名前、何と言ったか?」
「ハンスです!」
「私は連邦空軍ルーウェン大佐だ。上空の味方が援護してくれる。気を付けて空に上がれ」
「了解です!格納庫から出ます!」
彼を援護してくれ、という無線連絡がすぐにグリード隊に発信された。
敵機に包囲されているに近いこの状況で離陸する新人を護衛する、というのは
むちゃくちゃな命令だったが、今はやるしかなかった。
「了解した。地上への爆撃機は俺が何とかする。お前たち二人は戦闘機を落としつつ
ジャミングを行っていると思われる機体を捜せ!」
ヒューズ大尉がすぐに指示すると、急旋回急降下をして、地上を爆撃しようとしている
戦闘機に対し上から射撃を行った。すぐに炎上爆散し、脅威が一つ薄れる。
だが、守りきる、あるいは攻めるにしてはあまりに敵の数が多すぎた。
カリウスも次々と敵機を撃墜し、出来るだけハンスの援護をする。
ハンスは既に離陸位置に辿り着いている。
「こちら管制塔よ。滑走路の左側は墜落した戦闘機で塞がってるわ。出来るだけ右端の
コースを維持して飛ぶのよ!」
「了解です。やってみます・・・!」
ハンスは初めて乗る機体で、授業の内容を思い出しながら加速をかけていく。
その間何度も敵の銃撃を受けた。上から降り注いでくる銃弾の雨は自分のそばを、
機体のそばを掠めていく。
「いけいけいけ!そのまま加速し続けろ!!」
そして遂に、ハンス機は地面から足を放し、宙へ浮く。
十分な高度を取るまでは格好の的となり、帝国空軍の各機は何度もハンス機を
狙ったが、捉えることが出来ない。
そうしている間に後ろを取られたり、射撃によって邪魔されたりして、ハンス機を
撃墜するには至らなかった。
「よーし上がったな、ひよっこ。極力一人では行動するなよ。カリウスの後ろについていけ!」
「了解です!」
「管制塔。レーダー右上から新たな機影を確認した。識別信号の特定は出来るか?」
すぐにルーカス少佐が無線用のマイクを取って、彼らに向かって話しかける。
識別信号の特定には、ジャミングを行っているであろう機体を落とさないと相当な時間が
かかる、と。
もし右上から敵機が来ているのだとしたら、更に重大な事態に発展する。
1分ほどしか姿を捉えられず、ジャミングの範囲内に入った時点でレーダーからロストした。
「こちらグリード7、ジャミング機らしき敵を高高度で発見!」
「俺が援護するぜ。ハンス君、続け!」
いまだ健在のグリード5が指示し、ハンスはカリウスの機体を見続けながら更に
高度を上げていく。
初めて機体を操る感覚に、興奮と極度の不安を感じた。
戦時下で演習なしの実戦投入。気持ちが倒れそうになるのは無理もない。
いつどこで敵が撃ってくるか、すら分からないのだから。
そして。
カリウスが非武装機をその視界にとらえる。
・・・。
プロフィール

- ニックネーム
- wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
意味:魔術師 - 性別
- 男
- 血液型
- 非公開
- 生年月日
- 西暦1994 (平成6)年
8月15日生まれ。 - 現住所
- 北海道札幌市のどこか!
- 職業
- 高校三年生。
- 好きな映画
- トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc... - 紹介
- 始めまして。
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今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。
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