壁の先の恋
第14話
戦争への加担
グリード隊とは違う、性能も格下の戦闘機でカリウスはスクランブル発進を行った。
遂にアルブ地方にも帝国軍の手は伸びてきた。
彼は自分の判断と冷静さで空を飛び、今回の戦闘を切り抜けた。
グリード隊が先に滑走路へと着陸する間、彼は一言も発さずに上空で旋回し続けた。
今回は生き残れた。
次は分からない。
ヒューズ大尉たちの役に立てたのは良かった。
・・・だけど、それは戦争に自身も加担したということにもなる。
もう、後戻りは出来ないのか・・・。
「カリウス?聞こえてる?着陸準備しなさい」
「えっ・・・あ、はい!」
こうして、わずか30分ほどのフライトを終えた彼は無事に基地に戻って来られた。
いつもの演習とは違う感覚。疲れも、のしかかるようにやってきた。
緊張感から操縦桿を握る手が震えるのを感じていた。空の上が怖かったのではない。
自分が、敵を殺しに行っているという感覚を感じていたからだった。
今回は、誰も落とすことが無かったが。
終始無言でいるかと思ったカリウスだが、その場に整備長がやってきて、彼に話しかけた。
「よく無事で帰って来られたな。機体の調子はどうだった?」
「・・・よく、覚えていません。何せ初めての実戦でしたので・・・でも、言うことは聞いていたと
思います」
「そりゃそうだ。人間に逆らう機械がここにあったら困るからな」
整備長は笑ってカリウスにそう言った。
確かにそうだ。ここではこの戦闘機は彼らが操る者。主と下っ端の関係。
下っ端は主に逆らえず、主は下っ端を扱わなくてはならない。
相手に勝つために。相手よりも、上手くなるために。
「今日の、お前の動きは良かったぞ。だが・・・上層部は恐らく、この戦闘を判断材料とするだろう」
「何の、ですか?」
「・・・お前を、実戦投入するかどうか、というな」
まさに今、その話が行われていた。
基地司令官 ルーウェン大佐の執務室で。
「空の様子はレーダーで確認していた。だが、やっぱり近くで飛んでいる者から様子を
聞いた方が良いだろうと、私とルーカスで話していてね」
「それで、あいつの様子を教えてほしいんだ。それによっては、あいつをグリード隊の
一員として、今後実戦投入することも検討している。その点も・・・含めて」
ヒューズは正直に話した。
彼の上空での飛び方。2機に追われながら瞬時に打開策を見出す判断力。
緊張していながらも、演習と変わらない、あるいはそれ以上の機動を持った操縦。
「うむ・・・そうか」
穏やかな顔のルーウェンもこの時は顔を渋めた。
何故なら、まだ士官学校を卒業していない彼を実戦に投入することになれば、
それは士官学校始まって以来初になるからだ。
「俺からは、特に何も心配することはありません。いつだって、彼を迎え入れます」
「心強い言葉だよ。話は以上だ。機体の整備に戻ってくれ」
「はっ。失礼します」
大佐と少佐、二人きりになった部屋。
最初の状況に戻ったこの部屋で、まだ話は続いた。
「あいつを空へ上げることに異存はありません。ただ・・・『理事長』が何と言うか・・・」
「私もそこを心配していたのだよ。彼は演習生の中で一番の腕だと、私は思っている。
・・・ルーカス少佐。一緒に、士官学校まで来てくれぬか?」
彼の・・・父親に、話をしよう。
・・・。
14/63
プロフィール

- ニックネーム
- wizard<ウィザード>と言います(・∀・)
意味:魔術師 - 性別
- 男
- 血液型
- 非公開
- 生年月日
- 西暦1994 (平成6)年
8月15日生まれ。 - 現住所
- 北海道札幌市のどこか!
- 職業
- 高校三年生。
- 好きな映画
- トータル・フィアーズ
INDEPENDENCE DAY
逃亡者
ルパン三世カリオストロの城
DIE・HARD:2 and 4
劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」「ルギア爆誕」
etc... - 紹介
- 始めまして。
このホームページの管理者のwizardです。
いつもご利用いただき誠にありがとうございます。
今度とも時間を作り、小説や日常的出来事などを更新して
いきたいと思いますので、宜しくお願いします。
カテゴリー
最近の記事一覧
アーカイブ
携帯用QRコード
