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コラム(Limited)

2016年7月10日 23時06分17秒 (Sun)

異界月のリミテッド環境考察 〜プレリリースに向けて〜

毎エキスパンション恒例としていきたいと思っている、フルスポイラーの段階でリミテッドの環境を考察する記事になります。今回は異界月について。来週16.17日のプレリリースで使用される他、GP京都2016のチームシールドでも使用される、リミテッド的にも注目が大きく集まるエキスパンションです。
また、異界月のリミテッドは前エキスパンションである『イニストラードを覆う影』(以下SOIと略)も必ず併用して行われるので、その点を踏まえご覧ください。

では恒例通りコンバットトリックと除去の確認から。

@環境の除去について
img_20160711-022743.png
白:アンコモン2種 コモン1種(インスタント1種)
青:アンコモン1種 コモン2種(インスタント2種)
黒:アンコモン2種 コモン2種(インスタント1種)
赤:アンコモン3種 コモン3種(インスタント3種)
緑:アンコモン2種 コモン1種(インスタント1種)

多色:アンコモン1種

白の除去はコモンの≪絞首束縛≫が基本となりそうです。平和なべ系除去の常で、システムクリーチャーや生贄ギミックなどに対して弱いのが弱点で、環境に『現出』が存在するので青黒緑のカラーリングの相手には過信できません。逆に、黒緑など現出生物が高確率で入ってる相手なら現出生物が出てくるまで温存するプレイングも視野に入れましょう。
≪揺るぎない信仰≫は除去と強化オーラが一枚になっている面白いカードで、どのクリーチャーに付けるかでプレイングが問われる1枚です。ハマれば相手の盤面を挫きつつこちらの打点が上がる凶悪な1枚ですが、付けた生物が除去されると簡単に1:2交換のアドバンテージと4マナ分のテンポを取られます。また、サイズが上がった生物を過信して攻撃やブロックに回ると、コンバットトリックで相打ちにされた場合にも辛い思いをすることになる為、相手の厄介な生物を除去した場合エンチャントした生物は戦闘し辛くなってしまいます。
1/1トークンなどに付けて除去されたときのリスクを減らすか、大型生物に付けることで火力除去などを避けれるようにするか、飛行生物に付けて無理やりクロックを上げるか…1戦目で見た相手の除去をメモに取っておいてその除去を避けれるように使うのも大切になりそうですね。

青はバウンス2種とカウンターですが一応除去としてカウント。SOIの≪金縛り≫のような半永久的に出ているカードを対処できる除去は無いのが残念です。基本的なリミテッドではいずれもあまり積極的にはデッキに入れたくないカードですが、バウンスは『現出』カード群に対して有効なので評価は若干上がりそうです。

黒は≪暗殺≫がダブルシンボル以外文句なし100点の除去カードなのは言うまでもなく、コモン除去の≪生命の危機≫は大型生物に、≪エムラクールの加護≫と≪邪悪借用≫は小型生物への小回りが利く除去として互いの弱点をカバーしており、除去の色としての領分を感じさせてくれます。

赤の除去は驚きの枚数の多さ。計6枚、とはいっても、1点しか飛ばせない≪悪戯≫、非常に重くコントロール気味でしか使えない≪炎の散布≫、ディスカード手段がないと5マナ4点ソーサリーと採用したくないスペックになる≪錬金術師の挨拶≫などなど厄介な面子が揃っており、汎用性がある除去は3種になっています。3マナ以下の生物なら大体落とせる≪流電砲撃≫や≪焼夷流≫は軽さゆえにテンポが取れる優秀な除去です。反面、SOIの優秀な除去が≪癇癪≫であることもあり、赤のみではタフネス4以上を除去するのには苦労しそうです。現出クリーチャーを対処できるカードは他色から確保しておきたいですね。

緑はSOIでは汎用性のある除去が1種しかなかったですが、今回3種と増量。cipで2/3辺りの生物を一方的に除去でき、4点火力としても使える≪ゾンバーワルドの雄鹿≫、3マナで+修正を与えながらの一方的な格闘に加えインスタント除去である≪直接射撃≫のアンコモン2種は思考停止で入れて良い性能。特に≪直接射撃≫は戦闘時に使うことで修正で戦闘中の生物のサイズを上回りながら相手の他のクリーチャーを除去でき1:2交換が気軽に狙えます。
コモン除去である≪捕食≫は1マナ増えるだけで一方的にダメージを与えることができるSOIの≪狂気の一噛み≫に比べると見劣りする性能ですが、除去が少ない緑では貴重な1枚です。特にドラフトにおいて緑の質の良い生物が取れたが≪狂気の一噛み≫はすぐピックされてしまう為デッキ完成時に除去が全然取れていない、ということが多々ありましたがそれが減りそうです。

白はやや枚数面の不安があり、青は確定除去を持たないものの、各色十分な性能の除去が配られています。

A環境のコンバットトリックについて
img_20160711-213908.png
白:コモン1種 アンコモン3種 2マナ1枚 3マナ2枚 4マナ1枚
青:コモン1種  1マナ1枚
黒:コモン1種  1マナ1枚
赤:コモン2種 アンコモン1種  1マナ2枚 3マナ1枚
緑:コモン1種 アンコモン1種 3マナ2枚

白は4種中3種が全体に影響を与えるもの、また3種がタフネス偏重・軽減という防御よりのバットリが中心となっており、重要なリミテッド序盤の1対1の戦闘では使い辛いものが多く、その辺りは他色のバットリかSOIの≪腕っぷし≫≪今夜を生き延びる≫辺りをデッキに入れて補いたいところ。
また、白を相手にしている場合、計算上ライフが削り切れないのに相手が全員でアタックしてきた場合、≪恩寵借用≫かSOIの≪執念≫の可能性が高いので相手のマナや盤面を見、ライフ計算をした上で相手がどちらを打ってくるか推理しながらしっかり正しいブロックをしたいですね。

青はSOIでもパワー-修正の1枚だけでしたが、今回も同様-修正。1マナと軽いですが墓地に依存する為、非常に使い辛く、できればデッキに入れたくないカードとなってしまいそうです。

黒の≪邪悪借用≫は除去としても機能し、軽さもあり使い勝手が良さそうです。黒のバットリはSOIの≪奇妙な突然変異≫と≪邪悪借用≫の2種のみなので、相手が黒マナしか立てていない場合はタフネスは1までしか上がりません。

赤は何れも高い性能を持ちます。≪敵意借用≫は同マナ域同士のクリーチャーの戦闘では先制付与のみでだいたい一方的に勝て、サイズで負けててこちらの2/2で相手の3/4をブロックなどという盤面では+3/0で2:1交換するもよし、増呪でサイズ差を覆すもよし。≪自暴自棄≫もマッドネス抜きで、1対1の戦闘で使用しても大体一方的に討ち取れ、その上にマッドネスによるアドバンテージ獲得の可能性、2体付与による1:2交換の可能性もあります。≪異世界の発露≫は修正値はとても小さいですが重要なのは3/2トークンの生産であり、2/2や2/1で2/3と戦闘するだけで簡単に盤面をとても有利にできます。逆に赤を相手にする際はタフネス差は2ある状況で戦闘に挑みたいですね。1マナで3/2が出るだけで十分なので、盤面や手札次第では元から同士討ちの2/2同士の戦闘や、相手の除去に対応して使うこともあるでしょう。

緑はSOIで≪未知との対決≫≪狙いは高く≫と優秀なバットリを抱えていましたが今回は純粋なバットリは3マナで+3/+3と決して弱くはないものの見劣りしてしまうコモン1種のみ。1:1の戦闘では使い辛いですが、除去の回避に使える数少ないバットリなので、現出や狼男など除去されたくない大型クリーチャーを使うデッキでは構えて使えなくもないかもしれません。≪直接射撃≫は前述したとおり恐ろしく高性能なので緑を相手にしていて相手が3マナ立っている場合≪直接射撃≫を意識して動きましょう。2/3が2体こちらにいるのに2/2で殴ってきたなどの場合まず≪直接射撃≫がありそうです。


白・青・緑はSOIのバットリに比べるとマナコストが高めだったり、効果が小さかったりとやや弱体化しており使い辛そうな印象です。異界月が過半数を占めるリミテッドの場合、赤相手以外は余りコンバットトリックは意識しなくても良いかもしれません。


B各色の組み合わせ・シナジー・アーキタイプについて
友好色の部族の組み合わせはそれぞれシナジーが残っていますが、変化が見られます。
・赤黒(青)マッドネス
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赤黒吸血鬼とも知られるシナジーアーキタイプでSOIのみの時のリミテッド時は、マッドネスの不安定さと基本マナレシオの低さから緑系アーキタイプの次席に甘んじていましたが、この度良いニュースがあります。大きな戦力として、コモンにいつでもマナを使わずに手札を捨てることができる≪オリヴィアの竜騎兵≫を獲得しました。2マナ2/2で、得る能力も押し込みに使える飛行とマッドネス抜きでも採用したいスペックであり、なによりマナを使わずにできるディスカードはマッドネスのコスト軽減を最大限活用できます。2ターン目に竜騎兵が出てきて、次のターンには飛行2/2が殴ってきながらマッドネスで≪マウアー地所の双子≫が出てきて3t目なのに3/5が…なんてことがコモン2枚のコンボで現実的にできるようになりました。
しかし、良いニュースがあれば悪いニュースもあります。エルドラージに枠が食われたおかげか、アンコモン以下を参照した場合、青のマッドネスは1枚、黒に1枚、赤に4枚しかなく、ほぼ新戦力が無い状況です。シナジーが組めるかどうかはSOIに大きく影響されることになるでしょう。


・赤緑狼男
img_20160711-011542.png
エルドラージの影響により狼男の変身条件が変わりました。SOIでは「前ターンに呪文が唱えられていなかった場合アップキープに変身」という、対戦相手には毎ターン絶え間なく呪文を唱えることを要求し、自分には呪文を唱えずに棒立ちするか、マナを起動型能力や相手ターンのインスタント呪文に使うことを要求する変身条件でしたが、今回は『怪物化』のようなマナを払っての強化というシンプルな条件に。変身にかかるマナは再軽量で5マナ、重くて7マナとリミテッド的に見ても大量のマナがかかるコストになっており、変身するターンはほぼ他のアクションはできず、変身にスタックで除去された際には眼も当てられないことになる為、SOIの狼男と異なり基本は表面で戦うつもりでデッキに入れることになりそうです。
対戦相手が土地事故などで呪文を唱えれなかった際に変身し、暴力的な打点で押し切ったり、相手にコンバットトリックを構えることを許さないことができるのが狼男の強さの一端であった為、使い勝手は悪くなっています。
部族参照インスタントである≪満ち行く月≫で多大なマナを踏み倒して変身するか、≪ウルヴェンワルドに囚われしもの≫のようなマナ加速、タフネス偏重クリーチャーの採用による長期戦狙いなどをしないと変身ギミックは活用できないでしょう。


・青黒ゾンビ
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SOIではゾンビの墓地能力は手札を捨てての自己蘇生くらいで、≪闇告げガラス≫でゾンビの為に墓地を肥やす意味は薄く昂揚の為に使った方が有意義でしたが、そんな青黒も墓地の利用方法が格段に増えました。墓地をコストにトークン生産、墓地を参照してP/T修正、リアニメイト、墓地回収などなどなんでもござれ。ゾンビという部族を参照するカードは相変わらず少ないですが、青黒は現出のカラーリングでもあるため、うっかりライブラリーから落ちた現出クリーチャーをリアニメイトしたり、現出の為に生贄にした生物を手札に回収など粘り強い動きに巨大なサイズを伴わせることができるようになりました。

・青白スピリット
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構築での活躍も期待されている青白スピリット。アンコモン以下でスピリットという部族を参照するカードは≪ネベルガストの伝令≫のみですが、2マナ域のコモン2種のスピリットは部族関係なしに入る優秀なスペックであり、また≪ネベルガストの伝令≫がタッパーかつ飛行と凶悪な能力なので、SOIの時は薄かった「スピリットを集める意味」が出てきました。スピリットで固めたデッキで≪鎖鳴らし≫と≪ネベルガストの伝令≫が並んだら勝利は目前でしょう。


新たにみられるシナジーもあります
・青赤スペルシナジー
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≪霊魂破≫くらいしかシナジー要素がなかった青赤群にスペルを参照するシナジーカードが5~6種追加されました。しかし、生物で最弱の組み合わせであるのは変わらないので、赤や青のボムレアから入った際に青赤のスペルシナジーも考慮すると良いかもしれない程度に落ち着きそうな気はします。


・青黒緑現出
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青黒緑に配分された新能力であり、クリーチャーを生贄に捧げることで生贄に捧げたクリーチャー分マナコストを軽減して場に大型クリーチャーを出せます。ディスアドバンテージする代わりに大型生物が早期に出てくるわけですね。
現出コストは何れも本来のコストより1軽く、かつ色マナを要求すること、唱えたときに誘発するメリット能力があるのが特徴。現出コストが7のクリーチャーなら3t目に3マナの生物を出し次のターンに4マナ+3マナ生贄で出すのが理想の動きです。また、エルドラージの唱えたときの誘発能力により、返しで除去されても1ドローやドレインなどの恩恵は残ります。

そして現出能力が配られた青黒緑には現出に使ってくれといわんばかりのクリーチャーが数種類存在しており、≪悟った凶人≫や≪邪悪の使者≫などは戦場に出たときや死亡時にアドバンテージを生みつつ、本体のサイズは小さいため生贄に捧げても盤面の痛手が少ないというデザインになっています。現出も現出用の生贄に適したクリーチャーもそれぞれ単品でも機能しますが、組み合わさった時には更に強力です。

SOIのみの時は緑黒は昂揚、青黒はゾンビ、青緑は調査のシナジーの色となっていましたが、現出はこれらの色の組み合わせにどのような影響を与えるでしょうか。
長期戦を狙い素出しも狙える緑黒や、コントロール寄りの動きをするがサイズが小さくフィニッシャー不足が否めなかった青黒などには良い影響をもたらしそうです。



D最後に全体として見て
現出クリーチャー以外のマナコストが全体的に軽めに作られてあり、SOIに続きテンポが重要な環境が継続しそうです。
img_20160711-020217.png
このように低マナ域のコモンは標準的なマナレシオに+でメリット能力を持つのが基本となっており、キャストを促す狼男の開封比が減少しても2t目には必ず動きたい環境が継続しそうです。
逆に5~6マナ域のクリーチャーは少なく、また質としても≪ケッシグの不吉な豚≫≪ガツタフの放火魔≫のような頼れるフィニッシャーは存在しない為、2~3マナ域の生物の攻防が中心になり、フィニッシャーは現出クリーチャーか、6~7マナで変身する狼男、SOIから入手できたそれらの何れかになりそうです。シールド戦などでは4〜5マナのクリーチャーの穴埋めに苦労するかもしれません。


ここから先は100%憶測になります。SOIの色評価では結果として最強色であった緑に全く言及せずに黒か白が強そうとか言ってた節穴なので、飲み屋のオッサンの競馬予想くらいに思ってください。

色で評価する場合、SOIの時点で最強色であった緑は狼男が弱体化しており、コモンの生物もSOIに比べると見劣りしています。が、除去は優秀なものが増えたので優秀なSOIの狼男やコモン生物が取れて合わさった場合相変わらずの強さにはなりそうです。
白は4マナ以降の生物がほぼおらず、全体強化の増加・攻撃時誘発能力もちクリーチャー2種、タッパーの増加とウィニー・速攻戦略に磨きがかかっています。マナレシオが高い軽量生物が多い為、赤と組めて速攻戦略が組めるか、4,5マナ域を他色から持ってこれるとかなり強いデッキになりそうです。
赤はSOIの段階でもプレイアブルなクリーチャーが少なかったですが、異界月ではまず生物の絶対数が少なく、特にコモン生物だと両面を合わせても採用したいクリーチャーが3種くらいなので、主軸にはし辛そうです。アンコモンの生物が多く取れる・他色から生物を確保しバットリ、火力などの優秀なスペルで補助する・青と組んでスペルシナジーを狙うなどの使い方ができると強そうです。
黒はマッドネス・昂揚・ゾンビ参照などのシナジーカード群が増えましたが、シンプルに強いサイズや能力を持つクリーチャーは不足しており、それらのシナジーを意識するか除去が多いときに使う色になりそうです。
青はSOIの最弱色でした。異界月では多少優秀な生物が増えたりスピリットシナジーが生まれたりしましたが、除去の弱さ、何もしないと書いてあるスペルの多さなど大きく立場は上昇していないように感じます。現出クリーチャーによりサイズは克服できるようになったのはアピールポイントです。

纏めると、緑と白は相変わらずつよそう。赤黒はシナジーかカードの噛みあいが欲しい。青はまぁ弱そう。といった感じです。この勘が合ってることを祈ります。

以上を持って筆を置きます。次回、カラデシュでまた会いましょう。
筆者 ku`z 4回生 どくいろ

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