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コラム(Limited)

2016年3月26日 19時35分40秒 (Sat)

イニストラードを覆う影 リミテッド環境考察 〜プレリリースに向けて〜

前回、「ゲートウォッチリミテッド環境考察」という記事を書かせて頂きました、どくいろと申します。 反響をいただけたので、今回も趣味と実益を兼ねて来週プレリリースが控えている「イニストラードを覆う影」(以下、SOI)のリミテッド環境を考察、整理していきたいと思います。


@SOIの特異性
まず、SOIには両面カードが基本的に1パックに1枚存在しています。
レアの両面とアンコモンの両面が1パックから出て2枚になる、といったケースはありますが、アンコモンの両面が2枚やアンコモンに1枚、コモンに1枚といったケースはエラーパック以外有り得ません。
そして、アンコモンの両面の多くはリミテッドにおいて強力な性能をもっており、1パックに1枚という点も含めて実質レアのような価値を持っています。シールドにおいてデッキを組む際にはレアを数えるほかに両面カードを数えて、それらが多い・有効活用できる色を主軸にデッキを組み上げ、ドラフトにおいては両面が流れてくるか否かで色の混み空きを判断できそうです。


A環境の除去について
img_20160326-202542.png
白:コモン2種、アンコモン3種 (インスタント3種)
青:コモン3種、アンコモン1種 (インスタント2種)
黒:コモン3種、アンコモン2種 (インスタント1種)
赤:コモン3種、アンコモン4種 (インスタント6種)
緑:コモン1種、アンコモン1種 (インスタント1種)
茶:コモン1種

アンコモン以下の除去に成りうるカードはこのような配分になっています。
インスタント除去が多い赤を相手にする際にはコンバット・トリックはできれば相手の土地が寝ているときに使いたいですね。

白は2マナで戦闘中のパワー3以下を破壊できるレンジ・ストライク≪刺し込む光≫がコモンにあり、これが主力除去になりそうです。≪天使の粛清≫は土地が余った後半や、手がかりトークンを生贄にできれば優秀なコモン除去ですが、基本的に2:1交換になってしまう上にソーサリーと使い辛さが目立ちます。アンコモン以上の除去はやや重さが目立つ上に対象に制限がある≪粗暴者の貶め≫以外は除去する相手を選ばない優秀なカードなので、白を使うなら喜んでデッキに入れたい除去です。

青は除去4種中3種がバウンス呪文となっています。バウンスは基本的に1:0交換にしかならず、リミテッドではあまり強くない除去なのですが、両面カードがある環境なのでバウンスはその対策になり、従来のリミテッドよりも評価は上がります。しかし、それでも優先したい除去は1:1交換になるアンタップ阻害除去である≪金縛り≫ですね。

黒は除去の色の本領を発揮しており、とても優秀な除去が揃っています。コモンに3種も除去があり、特に≪死の重み≫と≪殺人衝動≫は全色のアンコモンまで含めて比較しても優秀と言える性能です。
≪死の重み≫は1マナでタフ2まで落とせるだけで優秀なのはもちろん、貴重な墓地に落ちやすいエンチャントである為、除去という強い動きをしながら昂揚が近づきます。更には永続的なマイナス修正である為、2/3を除去こそできずとも無力化といった使い方もできます。軽いカードは1ターンに2回呪文を唱えるという動きをやりやすくしてくれるので、相手の狼男を表面に戻すのにも役立ちます。
≪殺人衝動≫はタップしていればどのようなクリーチャーでも破壊できる範囲の広さ、2マナという軽さ、オマケにマッドネスまで付いていると近年のリミテ用コモン除去の性能と比較すると信じられない高性能ぶりです。この手のタップしているクリーチャー破壊呪文は、攻撃を一度は受けないといけないのが難点なのですが、手札コストを使い蘇るゾンビや手札コストを要求する吸血鬼などの、インスタントタイミングで手札を捨てる手段があれば、相手が攻撃宣言をしタップした段階でマッドネスすることで一度も攻撃を受けずに破壊できます。≪殺人衝動≫の枚数でデッキに黒を使うか否か決めても良い程でしょう。

赤は枚数で言えば一番多く、計7枚もあります。
といっても、タフ1しか落とせない為除去として使えるか怪しい≪両手撃ち≫、青マナが使えないデッキではあまりデッキに入れたくない為汎用性が低い≪霊魂破≫を除くと5枚になりますが、それでも比較的多めです。
コモンは構築でも活躍が期待されている≪癇癪≫が基本除去となるでしょう。ダブルシンボルがややネックですが、リミテッドではマッドネス抜きでもとても強い除去です。
≪稲妻の斧≫も1マナで4〜5マナのクリーチャーを除去できるので、テンポ面でとても優秀でありマッドネス抜きでも採用が見込めます。≪内面の葛藤≫も非常に除去できる範囲が広く、赤で高タフネスのクリーチャーを除去できる数少ない手段なので優秀です。
≪内部衝突≫は相手ブロッククリーチャー同士で格闘させることで1:2交換が成り立つ除去ですが、複数体の敵クリーチャーがブロックに回ったときのみにキャストできると限定的で、唱えても2体除去は敵の盤面に同サイズのクリーチャーが2体いないと成立しないため、安定してこちらが複数アタック、相手が複数ブロックに回る盤面を築くことができる前のめりなデッキでなければ採用は難しいでしょう。その分、ハマれば勝利が目前になるパワーはあります。

緑は2枚、さらに1枚はアンコモンの上に狼もしくは狼男が必要と、除去が弱いという特徴はいつも通りです。
ですが、コモンに唯一与えられた≪狂気の一噛み≫は2マナで一方的に格闘を行える、性能の高い優良除去なのが救いです。また、飛行に対しての除去は2マナインスタントで飛行クリーチャーを布告する≪翼狩り≫があります。

アーティファクトには合計4マナで2点飛ばせる≪爆発性の機器≫があります。除去としての性能はとても低く、積極的に入れたい除去ではないですが、色を問わず使える除去である点を利用して青緑などの除去が弱い組み合わせのデッキになってしまったときに入れるか、墓地に落ちやすいアーティファクトである点を利用し昂揚もちがデッキに多数あるときに採用するのが使い道になるでしょうか。

総じて、青以外には軽量かつ優秀な除去が多い環境であると言えそうです。

B環境のコンバット・トリック
img_20160327-194427.png
白:コモン2種 アンコモン1種 1マナ1枚 3マナ1枚 4マナ1枚
青:コモン1種  2マナ1枚
黒:コモン1種  2マナ1枚
赤:コモン2種 アンコモン1種  1マナ1枚 3マナ1枚 4マナ1枚
緑:コモン3種  1マナ1枚 2マナ1枚 4マナ1枚

白の≪腕っぷし≫は1マナで+2/+2修正と軽さと修正値のバランスが良く、装備品ボーナス抜きでも採用が見込め、かつ装備品がある際には装備先のトークンが生まれると噛みあっておりナイスコモンです。≪執念≫はコンバット・トリックというよりもオーバーラン系のフィニッシュカードに含まれます。複数体での戦闘を修正で覆されつつ絆魂されるとたまったものではないので、相手の方がサイズが劣っているのに全クリーチャーで殴ってきたら警戒すべきカードです。

クリーチャーの戦闘を苦手とする青は1枚だけ、それも使い難いパワーマイナス修正のみなので、相手の立っている土地が青のみのときはコンバット・トリックを警戒しないで良さそうです。

黒の≪奇怪な突然変異≫はタフネスは1しか上がらない為、サイズ差が激しい場合の打開策にはなりませんし、除去の回避にも使い難いですが、パワーを3上げつつ絆魂を付与するのはライフレース面でとても大きな影響を持ち、1枚で有利な状況に持っていけるパワーを持つカードでしょう。黒のバットリはこれ1枚ですがこの1枚のみで他色のコンバット・トリックと渡り合える強さがあります。

赤は3種ありますが、≪アドレナリン作用≫は軽さこそ魅力ですが、修正値が小さく1:1交換にできるのが限定的なので≪放たれた怒り≫≪悪意ある動機≫を使いたいところ。特に≪悪意ある動機≫は4マナと重めではありますが、かなりのサイズ差を覆し先制攻撃で一方的に倒し、さらにオーラで継続的脅威になるので魅力的です。また、≪無差別な怒り≫(2マナオーラ、エンチャントしているクリーチャーに+2/+2修正、マッドネス(1)(R))もインスタントタイミングで手札を捨てる手段がある場合コンバット・トリックになりますので、赤にはインスタントでタフネスを2上げる手段はないはずと思って火力を唱えると思わぬ回避をされるかもしれませんのでご注意を。

緑は戦闘と生物の色だけあり、コモンに3種と最もコンバット・トリックが手に入りやすくなっています。しかし≪未知との対決≫は調査カードがどれほど入っているかにもよりますが、最低限の+1/+1が基本、中盤で+2/+2修正程度しか期待できず、恩恵も少ないのでやや使い難そうです。
≪狙いは高く≫はゲートウォッチリミテッドの≪イトグモの蔦≫と酷似しており、こちらのクリーチャーがフルタップと思い攻撃してきた相手を奇襲できる為使い勝手がよさそうです。

全体的に修正値が小さいものが多く、+3/+3以上の修正を与えるものは昂揚達成時の≪道理を超えた力≫のみなので、火力や≪絞首≫などのタフネス参照除去をコンバット・トリックで回避されることは少なそうです。また、サイズが大きいクリーチャーがコンバット・トリックで小型クリーチャーに討ち取られることも少なそうですね。



C各色の組み合わせのシナジー・アーキタイプ
今回は贅沢に全色に何らかのシナジーが割り振られています。
イニストラードには、ゾンビ・狼男・吸血鬼・スピリットという4大ホラーとそれの犠牲者となる人間が5大部族として形成されています。
そして、スピリットは青白に、吸血鬼は赤黒に、狼男は赤緑に、ゾンビは青黒に、人間は緑白にと友好色の組み合わせにそれぞれ部族及び部族支援カードがちりばめられています。
img_20160328-224747.png
それら2色のコモン・アンコモンに部族クリーチャーが偏っているのはもちろん、友好色のマナを使う起動型能力で部族を支援するアンコモン・サイクルが分かり易く色に属する部族を象徴していますね。シールドのプールに部族支援カードが複数枚ある場合はこの色のカードを中心に構築を考えると良さそうです。
部族シナジーの程度は赤黒の吸血鬼と赤緑の狼男は他部族より抜きんでており、スピリットやゾンビが対象として参照したり、場に出たときに他に同部族がいたら2点ゲインしたりルーティングする「オマケ」程度のボーナスなのに対して、吸血鬼はコモン生物でもcipで+1/+1カウンターを他吸血鬼に乗せ直接盤面を強化し、吸血鬼は≪ステンシア仮面舞踏会≫、狼男は≪吠え群れの復活≫という全体支援エンチャントの存在により並べるほど恩恵が大きくなるようになっています。



また、対抗色にも一部シナジーが用意されており、また、各対抗色のマナを要求するアンコモンサイクルも存在します。

img_20160328-225019.jpg

赤白は軽量クリーチャーが多く前のめりな色としてデザインされており、≪ナヒリの策謀≫も非常に前のめりなカードです。火力やタップ呪文によりブロッカーを廃除し、2マナ3/1や3マナ4/1でガンガンライフを削るデッキになりますね。
青緑の組み合わせはどちらも除去が弱い為色としての相性も悪く、飛行と大型生物と戦略も噛みあいませんが、この色の組み合わせは調査能力を持つカードが一番多く、また、どちらにも手がかりを生贄にするとボーナスを得るコモン・アンコモンが複数存在し、調査コントロールとでもいうべきシナジーがあります。
緑黒も青黒と似たような感じで、緑と黒双方に昂揚を持つカードが多く、また緑には土地を墓地に落とす手段が、黒には直接ライブラリーやハンドを墓地に落とす手段が多く昂揚の達成もしやすいように作られており、緑黒は昂揚デッキを積極的に狙いに行くデッキが推奨されています。
青赤は果敢を持つクリーチャーが共通して存在し、スペルを唱えることを推奨しています。
黒白はもともと軽量が多い白に、ゾンビトークンを出す呪文や墓地から蘇生するゾンビ、どちらも墓地から追放することでトークンを出せるクリーチャーなどによって、赤白の軽量クリーチャーの高速展開による横並びとはまた異なる、じっくりと横に並びやすい構成になっています。また、ライフゲインが得意な組み合わせでもあります。

友好色の組み合わせに比べると部族による恩恵もなく、戦略的にも噛みあわない組み合わせがありますが、これら対抗色を要求するアンコモンは何れも機能すれば強力です。ドラフトで友好色の組み合わせが埋まっている場合やこれら対抗色アンコモンが連続で流れてきた際、シールドではボムレアが対抗色に固まってる際に考慮できます。



Dぶっちゃけ、どの色が弱くてどの色が強いの?という個人的推測
凡プレイヤーの適当な推測にすぎませんが、青が弱く、黒もしくは白が強いように感じています。

青はいつも以上にクリーチャーのスペックが低く、地上戦ではまず負けます。また壁クリーチャーも4マナ1/5飛行くらいしか存在しない為、青の十八番である地上を止めて上から殴るという戦法が取り辛くなってます。スペルも、青は調査がフューチャーされており、「調査」とつくことで従来よりマナコストが重くなっているスペルが多いのですが、調査でドローをしたところで強いカードがデッキになければ勝てませんし、2マナ払ってる間に盤面を制されて負けそうです。2マナ払うのが苦ではないロングゲームに持ち込めば調査は実質キャントリップとなりますが、@Aで上述した通り除去もコンバット・トリックも弱いですので押し切られて負けるではないでしょうか。
両面アンコモン≪逸脱した研究者≫≪招かれざる霊≫≪果敢な捜索者≫はどれも強力なので、ドラフトでそれらが流れて来たら活路はありそうです。が、シールドでは両面カードに頼りづらいですね。

黒は、先述した通り≪死の重み≫≪殺人衝動≫といった優秀な除去がコモンに多い点に加え
img_20160327-222018.png
死んでも1回は2/2トークンを生める驚異的な熊や、3マナ2/1飛行に墓地肥やしもできる≪闇告げカラス≫がコモンにいます。アンコモンにも2マナ3/3潜伏(デメリットでcipで手札1枚ディスカードだが、マッドネスや昂揚、墓地起動型能力がある)の≪トロスダッドの死騎手≫や2マナ2/1飛行(上述の吸血鬼)≪オリヴィアの血誓い≫がいたりとやけにクリーチャーが高水準です。

白も同じく優秀な除去を複数枚持ち
img_20160330-193335.png
≪グール呼びの共犯者≫に似た能力の良い基本スペックを持つ≪不屈の聖戦士≫がコモンにいるほか、2マナ3/1のコモンや、アンコモン以下にタップ能力を持つカードが3枚、アンコモン以下に全体+修正カードが3枚と強くウィニー戦略を支持しており、押し切る力はいつも以上に高そうです。
しかし、アンコモン以下と両面の表面まで含めても素でパワー4を超えるクリーチャーがいないため、壁や除去でいなされて長期戦になると白を主体にしたデッキはどうしても苦しくなりそうです。逆に白を相手にした場合はタフネス4を超える生物が非常に頼もしいですね。




以上でSOIリミテッド環境考察の筆を置かせていただきます。
プレリリースや友人との初ドラフトに出る前に、コンバット・トリックと除去だけでもざっと目を通すのにご利用して頂ければ幸いです。

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