第4回:「フレンチ・カンカン」

花の都でええじゃないか、ええじゃないか


「フレンチ・カンカン」(French Cancan)
1954年:フランス 監督:ジャン・ルノワール

 19世紀末の華やかなパリを舞台にくりひろげられる、極彩色のダンス天国!! スカッと爽やかフレンチ・カンカン!! みんな一緒にアン・ドゥ・トワ!! とまぁ、こんな気分にさせられること必至な“元気が出る映画”の決定版である。

 映画というものがそもそも娯楽であり見世物であることを痛感させてくれる。そしてそうであるからには“楽しい”ことが大前提であるということも教えてくれる。かといってそこに悲しみや葛藤がないわけではない。むしろ人間のばっちい部分・下卑た根性なんかをずいぶん堂々と見せつける作品である。がしかし、「こういうばっちい部分も含めて、人間て生き物は愛らしいじゃないの」というような、非常に大らかで懐の深いまなざしが根本にある人情喜劇だ。

 時は1888年、花の都パリで上流向けのクラブを経営していたダングラール(ジャン・ギャバン)は、下町のキャバレーで偶然見かけたおしゃまな娘、ニニ(フランソワーズ・アルヌール)に一目惚れし、即ナンパを決行。でもって一緒に踊ってみたらば、まぁ、グッと来る“胸騒ぎの腰つき”だったもんだから、興行師としての血が騒ぎ、普段はみすぼらしい洗濯女であったニニをスカウトする。そして彼女をメインの踊り子としてカンカン踊りを復活させ、新たな流行を生み出そうと画策する。映画はその成功までの紆余曲折を描くわけだが、これが笑いあり涙あり自殺未遂ありのドタバタ人生劇場なのだ。

 一見するとおしゃまなニニだが、その実は未だ操を立てる処女で、真摯な情熱家のカレシにも“させない”徹底ぶり。カレシはそんな生殺し状態にやり場のない憤りを覚え、「ほんま殺生なコやでキミは!!」などと性春の咆哮をくりかえす日々。

 ところがどっこい、ちょいと粋な興行師のおっさんにスカウトされたとなると話は別で、「ああいうプロデューサー的なエライ人にスカウトされたんだから、まずはカラダで面接することになるんだわ、アタシ。いや〜ん、どーしよぉ〜」なんてな週刊誌の読みすぎから来る低俗な期待と不安を胸に、「そうだ、とりあえず膜やぶっとかないとね!!」なんて軽い調子でカレシに“させちゃう”のである。もちろん、自分がそんな噛ませ犬的な役目をおおせつかったとはつゆ知らず、カレシは「ああ、なんて幸せなんだ、ぼかぁ」と感涙にむせぶのだった、、、かなしいけど、世の中には必要なんだろうなぁ、こういう立場の男も。

 そして“マン”を持して小粋なおじさん、ダングラールを訪ね、意外にも紳士的なダングラールに「アタシ、こういうのって、まず裸の付き合いから始まるんだと思ってたわ」なんて正直に白状すると、「そんなのは週刊誌の読みすぎさ」なんて言っておどけてみせるダングラールだったが、そこはやはり男と女、後々、ちょいと“いいムード”になった2人は案の定しっぽりキメることになる。これぞ映画だ。

 さぁ、通過儀礼も済んだところで、いよいよフレンチ・カンカンの大レビューに向けて精進の日々が始まる。ここからはスポ魂映画である。まず、それまで一座の花形女優であったローラ(マリア・フェリックス)とニニの確執(もちろん、ローラにもダングラールは手をつけている、、、はず)。そしてマジメ君なカレシは「人前であんな卑猥な踊り子をやるなんて、ぼかぁ、絶対反対や!! ありゃ、フレンチ・カンカンやない。ハレンチ・カンカンや!!」と嫉妬全開で迫る。

 そんなこんなで参っちゃってるニニの前に現れるアレクサンドル王子。彼はニニを熱愛するが、ニニを落とすことはできない。ダングラールと“いい感じ”のニニを見て絶望した王子はピストル自殺を図るものの一命は取り留める。吹っ切れた王子は出資者たちが手を引き、宙ぶらりんになっていたダングラールのカンカン大作戦に支援を申し出る。

 こうして、てんやわんやの末、どうにか新店舗開店にこぎつけ、初レビューの日がやって来るのだが、さぁこれからという時に、才能ある新人にちょっかいを出すダングラールを目の当りにしたニニがヒステリーを起こし楽屋に閉じこもってしまう。

 「アタシ、もう踊り子なんてやめてやるわ!!」

 本番直前の痴話騒動に動揺する一座。娘の晴れ舞台を楽しみにしていたニニママが説得を試みるもニニの心は動かない。と、ここでダングラールが男を見せる。

 「てめぇみたいな女はつまらん家庭で炊事洗濯針仕事でもして老いぼれていくのがお似合いだ。踊り子なんてやめちまえ!!」

 女心からすれば浮気男の逆ギレ以外の何ものでもないが、土壇場で見せた興行師のプライドとして見れば実にカッコイイ。さすがはジャン・ギャバン。これが石田純一だったら一座のみんなに袋叩きにされているところだ。そして、「アタシにはやっぱり踊りしかないんだわ!!」と吹っ切れたニニを筆頭に、ラストはカンカン軍団によるメーター振り切れっぱなしの超絶ダンス天国!!

 映画のテンションはここへ来て最高潮に達する。とにかく楽しい、面白い、素晴らしい!! 満場のお客さんたちはやんや、やんやの大喝采。色々あった関係者各位もみな満面の笑みで声援を送る。そしてダングラールは客席で見つけたカワイコちゃんに、「君も舞台に上がりたい?」なんて声をかけるのだった。めでたし、めでたし。



 

とにかく楽しいダンス天国。みんな一緒にわっしょい、わっしょい。


とにかく可愛いアルヌール嬢。手すりでスベって降りちゃうわん。


とにかく浮気な興行師。宇宙刑事とおんなじ名前。
ダイヤの原石を磨き終わったらすぐに自立させ、また次の原石を探し出す習性を持つ。

 

映画はやっぱり“楽しい”がいちばん!!
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http://www.youtube.com/watch?v=TEuV6fN4hWw


                                                (2009年6月24日)


プロフィール

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ニックネーム
アンジー
性別
血液型
O型
生年月日
1984年5月2日
現住所
東京
自己紹介
政治経済スポーツ苦手。映画音楽本が好き。懐疑派の無神論者を標榜しつつも、テレビの占いなどで不安なことを言われるとかなり気にするタイプ。
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